Banking & Finance

決済・送金サービスの規制問題――無登録営業・業務範囲の逸脱の指摘への対応

提供中の決済・送金サービスについて、登録が必要ではないか、認められた業務の範囲を超えているのではないかと指摘されると、対応は当局への回答だけにとどまりません。受付を止めるか、既に預かっている資金をどうするか、提携先にいつ何を伝えるか――これらを、業態の評価が定まらないまま、同時に判断することになります。判断を先送りすると、その間に処理された取引が、後の是正の対象として積み上がります。

本稿では、サービス提供者の立場から、未処理取引や受領済み資金への対応、提携先との調整、当局への説明と是正後の運営を整理します。資金移動業を主たる対象とし、前払式支払手段は別の業態として整理が異なるため、本稿では詳細を扱いません。業態と登録状況を踏まえ、停止・継続、運営方法の変更や終了の条件を検討します。

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まず確認すること

  1. 指摘の主体・内容と対応期限――当局、提携銀行、提携先から届いた文書・連絡について、法的な位置づけ、問題とされた行為、求められている回答・措置とその期限を確認します。
  2. 契約上の役割と実際の業務――利用規約、提携契約、利用画面、資金の流れを照合し、登録・届出等の内容と、実際に行っている業務・役割分担との対応関係を確認します。
  3. 新規取引と既存取引の処理状況――受付・入金・送金の処理段階を分け、自動処理や提携先の処理状況も含めて、継続・停止を判断する必要がある行為と対象範囲を確認します。
  4. 受領済み資金と利用者への債務――利用者別の取引・残高と資金の所在を照合し、未処理取引、返金・精算の対象、適用される資金保全の仕組みと不足の有無を確認します。
  5. 記録の保全と説明体制――取引ログ、残高記録、当局・提携先とのやり取りを保全し、記録の保存先、社内の判断体制、回答窓口、利用者や提携先への説明方針を検討します。

ご相談いただけること提供している業務の内容と範囲の確認/適用され得る規制の整理/利用者から預かる資金の取扱いの確認/提携先との契約と役割分担の整理/当局への説明と届出の検討

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目次
  1. 1 指摘内容と実際のサービスを確認する
  2. 2 新規受付・送金・既存取引の取扱いを判断する
  3. 3 受領済み資金と利用者への対応を整理する
  4. 4 提携先との契約と運営方法の変更を検討する
  5. 5 当局への説明と是正後の運営を検討する
  6. 当事務所の支援内容
  7. よくあるご質問

1 指摘内容と実際のサービスを確認する

照会・警告・処分の内容と期限を区別する

最初に、当局や提携銀行等から、どの行為について、いつまでに何を求められているかを整理します。当局からの文書は、照会・警告・命令等の別と法的根拠を確かめ、求められた回答・措置と期限をそれぞれ確認します。

区別が必要なのは、文書の性質によって、応じ方も、応じなかった場合の帰結も異なるためです。任意の照会や行政指導と、法令に基づく報告の徴求とでは、回答の位置づけが違います。いずれについても回答することが多いとしても、何に基づく求めなのかを把握しないまま回答を作ると、述べる必要のないことまで述べ、あるいは述べるべきことを落とします。

提携先からの連絡も、同じ整理をします。提携銀行が口座の取扱いについて照会してきた、決済代行の提携先が取扱いの停止を通告してきた、といった場合、それが契約上のどの条項に基づくものかを確認します。当局からの連絡がない段階でも、提携先を通じて事実上サービスが止まることがあります。

あわせて、記録の保全に着手します。取引ログ、残高の記録、利用者とのやり取り、社内の稟議と判断の経過、提携先との連絡。これらは、通常の運用では一定期間で上書きされたり削除されたりします。指摘を受けた時点で、保存期間の設定を確認し、必要なものを別に確保します。とくに、外部のサービスを利用して管理している記録は、契約の終了とともに取得できなくなることがあります。

契約・利用画面・資金の流れを照合する

資金移動業を主たる対象とし、登録状況、登録上の種別、実際に提供しているサービスを照合します。前払式支払手段は別の業態として整理が異なるため、詳細は扱いません。両者が組み合わされている場合も、サービス全体を一括せず、機能と資金の流れごとに検討します。

照合の対象は、次のとおりです。利用規約と実際の画面表示。提携契約と実際の役割分担。表示している手数料と実際の収受。そして、資金がどの口座に入り、いつ、誰の指図で、どこへ出るかという流れです。とくに、利用者から受け取った資金がいったん自社名義の口座に入るのか、提携先の口座に入るのか、預り金として区分されているのかは、後の判断すべてに関わります。

実際の行為と登録・届出・認可の関係を確認する

サービス名だけで規制上の位置づけを決めず、実際の行為と適用要件を照合して検討します。

資金決済法は、資金移動業について、銀行等以外の者が為替取引を業として営むことをいう旨を定めています。そして、内閣総理大臣の登録を受けた者は、銀行法の定めにかかわらず資金移動業を営むことができるものとされています。他方、銀行法は、銀行業は内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ営むことができない旨を定めています。つまり、銀行等以外の者が為替取引に当たる行為を業として行う場合には、特例が設けられている場合を除き、資金移動業の登録が必要になる、という関係にあります。なお、登録や免許を受けずにこれらの業を営んだ場合には、刑事罰の対象となることがあります。

したがって、確認すべきなのは、自社が行っている個々の行為が、この関係のどこに位置するかです。「送金サービス」という名称を使っていなくても、実質的に為替取引に当たると評価される行為があり得ます。逆に、名称に送金という語が含まれていても、資金の流れによっては評価が異なることがあります。利用規約や画面表示に加え、誰が資金を受け入れ、誰に送金を指図し、どこに残高があるかを記録から確認します。

登録を受けている場合は、登録上の種別と、実際の取扱いとの対応を確認します。資金決済法は、履行保証金について、資金移動業の種別に応じて供託しなければならない旨を定めており、種別によって取扱いが異なることを前提としています。取扱金額、資金の保有期間、対象とする取引の範囲が、登録の内容と実際の運用とで食い違っていないかを照合します。

業態の評価が未了でも、当局への回答期限、受付済み取引、受領済み資金の所在を確認します。期限対応と並行し、停止・継続を判断する行為と、その法的根拠を検討します。

当局への資料提出や聴取への準備に共通する手順は、「規制当局による調査・強制捜査への対応」で整理しています。

2 新規受付・送金・既存取引の取扱いを判断する

新規受付・入金・送金の処理段階を分ける

「サービスを止めるかどうか」という問いの立て方では、判断ができません。処理の段階ごとに分けます。

分ける単位は、おおむね次のようになります。新規の利用登録。新規の取引の受付。利用者からの入金の受入れ。受け入れた資金の保有。送金の指図の実行。着金と受取人への引渡し。返金・出金。これらは、それぞれ別の行為であり、止めるかどうかの判断も、止めた場合の影響も異なります。

たとえば、新規受付を止めても、既に受け入れた資金の保有と送金の実行は続きます。この状態を放置すると、止めたはずのサービスについて、その後も為替取引に当たり得る行為を継続していたことになりかねません。逆に、送金の実行まで一律に止めると、利用者に対して既に負っている債務を履行しないまま、資金だけを保有し続けることになります。

停止が必要な行為と対象範囲を検討する

どの行為を止めるかは、指摘の内容と、その行為の法的な位置づけから判断します。無登録営業を指摘されている場合と、登録はあるが業務範囲の逸脱を指摘されている場合とでは、止めるべき範囲が異なります。後者では、登録の範囲内に収まる取扱いは継続し得る一方、範囲を超える部分の切り分けが必要になります。

対象範囲についても、利用者の属性、取引の種類、金額帯、仕向先の国・地域といった軸で切り分けられるかを検討します。一律の停止しか選択肢がないと考えると、影響が過大になり、また、利用者への説明も困難になります。

もっとも、切り分けの根拠を説明できないまま一部だけを止めると、なぜその範囲なのかが問われます。売上への影響が大きい取扱いだけを残した、と受け取られると、是正の姿勢そのものが疑われます。切り分ける場合は、その基準が指摘の内容に対応していることを、記録に残る形で示せるようにします。

既存取引を処理する法的根拠と方法を確認する

既に受け付けた取引の処理を続ける場合、その根拠を整理しておきます。利用者との契約上の義務の履行として行うのか、是正の一環として当局に説明したうえで行うのか、いずれの位置づけかによって、記録の残し方が変わります。もっとも、契約上の義務があることや、当局に処理の方針を説明したことだけで、規制上許されない処理を続けられるわけではありません。登録を受けていた事業者が登録の効力を失った場合には、既存の債務の履行を完了する目的の範囲で、なお資金移動業者とみなされる仕組みが設けられていますので、その適用の有無と、処理できる範囲を確認します。当初から登録を受けずに営んでいた場合には、この仕組みをそのまま当てはめることはできません。

実務上、判断が難しいのは、処理を続けること自体が問題とされる可能性がある場合です。この場合でも、資金を保有したまま何もしないという選択が当然に安全なわけではありません。利用者に対する債務は残り、時間の経過とともに請求と苦情が積み上がります。処理の継続と停止のいずれについても、その理由と判断の時点を記録します。

自動処理を含む停止措置の実施状況を確認する

停止の判断をしたら、それが実際に反映されているかを確認します。決済システム、定期実行の処理、提携先側の処理、APIを通じた外部からの受付が残っていると、停止したという説明と実際の処理が食い違います。

この食い違いは、後の当局対応で最も問題になりやすい点の一つです。「受付を停止した」と回答した後に、その日以降の取引が記録に残っていると、回答の信頼性そのものが問われます。停止の範囲、実施の日時、確認の方法を記録し、実際のログと突合します。

確認は、一度で終わりません。停止の措置を講じた後も、定期的に取引の発生状況を確認します。とくに、外部のシステムと接続している場合、自社側で止めたつもりの経路から取引が入ってくることがあります。また、停止の措置を担当者の手作業に依存させると、担当者の不在時に解除されることがあります。措置の内容は、可能な限りシステム上の設定として残します。

3 受領済み資金と利用者への対応を整理する

利用者別の債務と資金の所在・残高を照合する

利用者ごとに、預かっている金額、未処理の取引、確定している債務を整理します。同時に、その資金が現実にどこにあるかを確認します。自社の口座か、提携先の口座か、供託されているか、他の資金と混同していないか。

この二つの突合が合わない場合、その差額の原因を特定します。手数料の未収受、送金途上の資金、システム上の記録と実際の残高のずれ、他の用途への流用――原因によって、その後の対応がまったく異なります。とくに、流用が疑われる場合は、資金の返還の問題にとどまらず、社内の調査の問題になります。

突合は、可能な限り早い時点で行います。時間が経つほど、記録と実際の資金のずれの原因をたどることが難しくなります。また、この作業は、当局から求められてから始めるのでは間に合いません。求められた時点で「確認中」としか答えられない状態が続くと、管理の実態そのものが問題とされます。

突合の結果は、日付を付して保存します。その後も残高は動きますので、どの時点の数字かが分からない資料は、説明の材料になりません。

適用される資金保全の仕組みと不足の有無を確認する

資金決済法は、資金移動業者について、資金移動業の種別に応じて履行保証金を供託しなければならない旨を定めています。登録を受けている場合、供託の額と、現に負っている債務の額との対応を確認します。保全の方法には供託以外のものも定められていますので、自社が採っている方法と、その要件の充足状況を確認します。

無登録の状態が問題とされている場合、この制度上の保全は前提となっていません。したがって、利用者の資金がどのように確保されているかを、事実として示す必要が生じます。区分管理の実態、口座の名義、他の資金との混同の有無を確認します。あわせて、送金に用いられない資金を受け入れて保有する運用になっていないかを、預り金に関する規制も含めて確認します。資金を受領し保有していることだけで直ちに問題となるものではありませんので、受入れの目的と、その後の資金の動きから確認します。

返金・精算の相手方と実行方法を検討する

返金を行う場合、誰に対して、いくらを、どの順序で返すかを決める必要があります。ここで注意が必要なのは、「利用者のお金だから全部返せばよい」という整理では済まない場合があるという点です。

未処理の送金について、送金人に返すのか、受取人に渡すのかは、取引の段階と契約の内容によって変わります。また、返金の原資が全員分に足りない場合、一部の利用者にだけ先に返すことが、後に問題とされる可能性があります。手数料や債権債務の相殺についても、契約上の根拠を確認します。

返金の方法自体が、規制上の問題を生じないかも確認します。返金を装った送金が、止めたはずの行為の継続と評価されないよう、対象と方法を整理します。また、返金や送金を実施する際には、取引時の確認やマネー・ローンダリング対策に関する手続、外国為替及び外国貿易法に基づく確認が必要となる場合がありますので、実施の前に確認します。

利用者への説明と未解決の請求への対応を検討する

利用者への説明では、確認できている事実と、未確認・未決定の事項とを区別します。確認や決定に時間を要する場合も、必要な報告や説明の期限を踏まえ、その時点の状況と、今後の案内の方法を伝えます。サービスの取扱いがどうなるか、預かっている資金がどう扱われるか、いつまでに何が分かるか。これらについて、確定していない事項を確定したかのように伝えると、後で訂正することになり、訂正自体が新たな問題になります。

利用者からの個別の請求については、対応の窓口と判断基準を決めておきます。とくに、事情を説明せずに個別に応じていると、対応の差が後で問題とされます。

なお、不正送金の被害企業による資金の回収や、取引先からの再請求への対応は、「海外送金詐欺・BECへの初動対応と損失負担」で整理しています。同ページは被害を受けた企業の立場から整理したものであり、決済サービス提供者の責任や免責を判断するためのものではありません。

4 提携先との契約と運営方法の変更を検討する

停止・解除・報告に関する提携契約の定めを確認する

提携先との契約には、法令違反の疑いが生じた場合の取扱いが定められているのが通常です。報告義務、取扱いの停止、契約の解除、損害の負担、資金の返還といった条項を確認します。

確認の順序としては、まず、報告義務の有無と期限を見ます。報告を怠ったこと自体が、後に契約解除や損害賠償の根拠とされることがあります。次に、相手方が停止・解除をできる条件を見ます。「法令違反のおそれがあるとき」といった広い定め方がされている場合、当局からの照会があった段階で条件を満たすと主張される可能性があります。

提携先への説明と費用・責任の分担を検討する

提携先に何をいつ伝えるかは、判断を要します。伝えなければ報告義務違反となり得ますが、伝えた内容が確定的な事実として扱われ、それが当局への説明と食い違うことも避ける必要があります。したがって、社内で確定した事実の範囲を先に固め、当局への説明と整合する内容で伝えることになります。

費用と責任の分担については、契約上の定めと、実際の役割分担の双方を確認します。提携先が業務の一部を担っていた場合、その部分についての責任の所在が争点になります。契約上は自社が主体とされていても、実際には提携先が資金を受け入れ、送金の指図を出していたという場合、双方の説明が食い違うことがあります。

また、提携先が、自社との取引を停止したうえで、利用者に直接連絡を取ることがあります。この場合、利用者に伝わる情報が二経路になり、内容が食い違うと混乱が生じます。提携先との間で、利用者への案内の内容と時期について、あらかじめ調整しておきます。

業務主体・資金経路・委託範囲の変更を検討する

是正の方法として、業務の主体を変える、資金の経路を変える、委託の範囲を変えるといった対応が検討されることがあります。ここで注意が必要なのは、登録のある提携先に業務を任せれば自社の登録が不要になる、とは限らないという点です。

提携先が登録を有していることは、自社が行う行為を当然にカバーするものではありません。誰が為替取引を行っているのかは、契約上の建付けだけでなく、実際に誰が資金を受け入れ、誰の指図で資金が動いているかから判断されます。変更を検討する場合は、変更後の資金の流れと役割分担を具体的に描いたうえで、それぞれの行為の位置づけを確認します。

未処理取引と利用者契約の移行条件を確認する

業務の移行を行う場合、未処理の取引と利用者との契約をどう扱うかを決めます。利用者の同意が必要か、通知で足りるか、既存の債務が移転するのか、移行の前後で資金保全がどう確保されるか。これらが定まらないまま移行を進めると、元の事業者に債務が残ったり、実際に履行を担当する者や資金保全の切替えが不明確になったりするおそれがあります。

事業譲渡等による移行を検討する場合の登録・届出と取引契約は、「金融サービス会社のM&Aと金融規制」で確認します。

5 当局への説明と是正後の運営を検討する

確認済みの事実・法的見解・未確認事項を区別する

当局への回答では、この三つを明確に分けます。確認済みの事実は、資料とともに示します。法的な見解は、見解として示します。未確認の事項は、未確認である旨と、いつまでに確認できる見込みかを示します。

最も避けるべきなのは、確認していないことを確認したかのように述べることです。後に訂正が必要になった場合、訂正の内容以上に、当初の説明の姿勢が問題とされます。分量を抑えるために推測で埋めるよりも、確認できていない事項はその旨を明示するほうが、後の訂正を避けられます。

また、自社の行為の適法性についての見解を述べるかどうかは、慎重に判断します。見解を示さないことが不誠実と受け取られる場面もありますが、事実関係の確認が済んでいない段階で結論を述べると、後の主張が制約されます。

是正措置と実施を裏付ける資料を整理する

是正の内容は、実施した事実とともに示します。停止した行為とその日時、変更した業務フロー、返金・精算の状況、社内の体制の変更、再発を防ぐための措置。それぞれについて、実施を裏付ける資料――システムの設定変更の記録、社内の決裁、利用者への通知の控え、口座の記録――を整理します。

計画として述べたことについては、実施の時期と確認の方法まで示します。実施されない計画は、後により重い評価につながります。実施できる範囲を超えた計画を述べるよりも、範囲を限定したうえで、述べたとおりに実施することを優先します。

社内の体制についても、形式的な整備だけでは足りません。誰がどの判断を行うか、その判断がどの資料に基づくか、判断の記録がどこに残るかまでを決め、実際に運用します。規程を作成したという事実だけでは、同じ問題が再び生じないことの説明にはなりません。

必要な手続と再開・運営方法の変更・終了の条件を確認する

今後の運営について、選択肢は、登録等の手続を経て継続する、業務の範囲や方法を変更して継続する、終了する、のいずれかになります。

ここで確認が必要なのは、登録や業務の変更の手続をすれば過去の問題が解消されるわけではない、という点です。将来に向けた適法な運営の確保と、過去の行為についての評価とは、別の問題です。手続を進めることは是正として意味を持ちますが、それによって過去の行為がなかったことになるものではありません。

終了を選択する場合は、一時的な受付の停止と、資金移動業の全部又は一部の廃止とを区別します。登録を受けている事業者が業務を廃止する場合には、廃止する日の30日前までに公告し、営業所等に掲示すること、公告の後と廃止の後にそれぞれ届け出ることなど、法令で定められた手続を確認します。業務を廃止しても、利用者への債務の処理、記録の保存、提携先との清算は残ります。事業の承継を伴うかどうかも踏まえ、債務の履行の方法と、完了までの対応の体制を整えます。サービスの提供をやめた時点で対応が終わると考えていると、その後に届く利用者からの請求や当局からの照会に、対応する体制がない状態で向き合うことになります。

登録の取消しや業務の停止といった処分については、原則として、処分の種類に応じて、聴聞又は弁明の機会が設けられます。ただし、緊急を要する場合など、例外が定められている場合もありますので、適用される手続とその期限を確認します。何を、どの段階で述べるかを、あらかじめ整理しておきます。処分の内容によっては、一定期間、同種の業務を行えなくなることや、役員の地位に影響が及ぶことがあります。これらの帰結を踏まえて、どこまで争い、どこから是正に徹するかを判断します。

なお、これらの判断は、資金繰りとも切り離せません。受付を止めれば手数料収入が止まり、返金を進めれば手元資金が減ります。是正の計画を立てる際には、それを実行するための資金が最後まで続くかを併せて確認します。

当事務所の支援内容

業務の実態と指摘の根拠を整理する

利用規約、提携契約、利用画面、資金の流れを照合し、実際に行っている行為と、指摘の根拠とされている規定との対応関係を整理します。停止・継続を判断する単位についても、処理の段階ごとに切り分けます。

当局への説明と利用者・提携先への対応を支援する

確認済みの事実、法的見解、未確認事項を区別した回答の作成を支援します。利用者への説明、返金・精算の順序と方法、提携先への報告と協議についても、整合性を確認しながら進めます。

是正措置と運営方法の見直しを支援する

是正の内容と裏付け資料の整理、業務主体・資金経路・委託範囲の変更の検討、再開・変更・終了それぞれの条件の確認を支援します。

よくあるご質問

無登録営業だと指摘されたら、違反が確定したことになりますか。

指摘を受けた段階では、確定していません。まず、指摘の主体と文書の性質――任意の照会か、法令に基づく報告の徴求か、行政指導か――を確認します。そのうえで、自社が実際に行っている行為を、資金の流れに即して把握します。サービスの名称ではなく、誰が資金を受け入れ、誰の指図で資金が動いているかが判断の基礎になります。もっとも、確定していないことと、当面何もしなくてよいこととは別です。回答期限の管理と記録の保全は、評価が定まらない段階でも進めます。

新規受付を止めれば、受け付け済みの送金は続けてよいですか。

新規受付の停止と、既存取引の処理とは、別の判断になります。受け付け済みの送金を実行することも、それ自体が一つの行為として評価され得ます。他方で、資金を保有したまま処理を止めることにも、利用者に対する債務が残るという問題があります。どちらの選択にも検討すべき点がありますので、取引の段階ごとに分けて、それぞれの根拠を整理したうえで判断します。判断した内容が実際のシステムに反映されているかの確認も必要です。なお、契約上の義務があることや、当局に説明したことだけで、規制上許されない処理を続けられるわけではありません。

利用者のお金は、すぐに全額返せばよいですか。

返金が適切な場合もありますが、一律にそうとは限りません。未処理の送金について送金人と受取人のどちらに渡すのか、返金の原資が全員分に足りるのか、手数料や相殺の取扱いはどうか、といった点を整理する必要があります。また、一部の利用者にだけ先に返すことが、後に問題とされる可能性もあります。資金の所在と利用者ごとの債務を突合したうえで、順序と方法を決めます。

登録のある提携先に任せれば、サービスを続けられますか。

提携先が登録を有していることは、自社が行う行為を当然にカバーするものではありません。誰が為替取引を行っているかは、契約上の建付けだけでなく、実際に誰が資金を受け入れ、誰の指図で資金が動いているかから判断されます。提携による是正を検討する場合は、変更後の資金の流れと役割分担を具体的に描き、それぞれの行為の位置づけを確認することになります。

登録や業務変更の手続をすれば、過去の問題も解消しますか。

将来に向けた適法な運営の確保と、過去の行為についての評価とは、別の問題です。手続を進めることは是正として意味を持ちますが、後に登録を受けたことによって、過去の登録を受けずに行った営業が遡って適法になるわけではありません。他方で、是正への取組みは、その後の対応において考慮される事情となることもあります。過去の取引の評価、既存の債務の精算、変更後の業務の適法性は、分けて検討します。

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本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。具体的な対応については、当事務所までご相談ください。記事の内容は、最終更新日の時点で施行されている法令等に基づいています。施行前の改正法を取り上げる場合は、本文にその旨を示しています。