Banking & Finance
金融サービス会社のM&Aと金融規制
金融サービス会社のM&Aでは、価格や契約条件だけでなく、対象事業に必要な登録・届出等、取引後も維持すべき業務体制、利用者財産の管理などを取引の早い段階から確認する必要があります。
特に、株式譲渡と事業譲渡・会社分割・合併では、同じ事業を引き継ぐ場合でも、業法上の扱いや必要な手続が異なることがあります。
本ページでは、資金移動業、前払式支払手段、暗号資産・電子決済手段、貸金業を中心に、金融サービス事業の買収・売却で検討すべき金融規制上のポイントと、新規サービスの規制該当性を検討する際の留意点を整理します。
フィンテック企業への駐在経験やM&A・上場支援に携わった経験を背景に、金融規制の適用関係の検討から法務調査(デュー・ディリジェンス)、契約、当局手続の検討まで、金融サービスに関する取引法務を支援しています。過去に担当した法務調査では、対象会社等が認識していなかった登録・届出上の論点を確認した例があります。
まず確認すること
以下は、ご相談の際に分かる範囲で共有いただきたい事項です。取引方法や買収後の事業内容が未定の場合、必要な資料がまだそろっていない場合、新規事業の規制該当性を検討している段階でもご相談いただけます。
- 対象サービスと資金の流れ――誰から誰に、どのような目的で金銭その他の財産的価値が移転するサービスかを確認します。収納代行、決済代行、後払いなどは、サービスの名称だけでなく、契約関係と資金の流れを把握することが重要です。
- 登録・届出等の状況――M&Aでは、対象会社が行っている登録・届出等について、業種、登録内容、所管当局、対象となるサービスを確認します。資金移動業の場合は、営んでいる資金移動業の種別も確認します。
- 予定しているM&Aの方法――M&Aを予定している場合は、株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併など、想定している取引方法を確認します。対象会社自体が存続するか、規制対象事業を別法人が引き継ぐかによって、検討すべき手続が異なります。
- 取引後の株主・役員・経営体制――取引後の株主構成、役員その他の経営体制を確認します。業種によっては、株主構成や役員等の変更について、届出その他の手続の要否を確認する必要があります。
- 利用者の資金・財産の管理状況――前払式支払手段の未使用残高、資金移動業の利用者資金、暗号資産・電子決済手段など、利用者に関係する財産の保全・管理方法を確認します。取引後に資金の流れや管理方法を変更する場合には、その影響も検討します。
- 監督当局への届出・報告・対応履歴――過去の変更届出、報告徴求・検査への対応、法令違反等に関する届出、行政上の指摘の有無などを確認します。必要な届出等が適切に行われているかも法務調査の対象となります。
- 貸付債権・過去取引に関する潜在債務――貸金業を含む場合には、貸付条件、金利、債権管理、債権譲渡の履歴などを確認します。旧来の貸付を含む場合には、過払金返還請求その他の潜在債務についても検討します。
- 取引後又は新規事業で予定しているサービス・システムの変更――買収後又は新規事業で予定する商品設計、資金の流れ、委託先、システム、利用者層などを確認します。既存の登録・届出等を前提としたまま新しいサービスを行えるかは、別途検討が必要となることがあります。
初回のお問い合わせには対象事業や予定する取引など案件の概要をご記載いただき、詳細資料の送付方法については案件の内容に応じて個別にご案内します。
ご相談いただけること資金決済法・貸金業法等の規制該当性/登録・届出等とM&Aの取引方法/金融規制に関する法務調査/利用者財産・業務体制の確認/M&A契約への反映/監督当局への手続・取引実行後の対応
お問い合わせフォームへ目次
1 金融サービス会社のM&Aで最初に確認すべきこと
金融規制は「会社」だけでなく「行う事業」から確認する
金融サービス会社のM&Aでは、対象会社の名称や業種だけでなく、実際の契約関係と資金その他の財産的価値の流れを確認する必要があります。同じ「決済」「後払い」「送金」と呼ばれるサービスでも、その仕組みによって適用される法令や必要な登録・届出等が異なることがあります。M&A全般の進め方は、M&A(合併・買収)の法務支援のページをご覧ください。
株式譲渡と事業譲渡・会社分割・合併の違い
株式譲渡では通常、登録を受け、又は届出を行っている法人自体は変わりませんが、株主構成、役員、業務内容などの変更について必要な手続を確認します。事業譲渡・会社分割や登録主体が消滅する合併では、規制対象事業を行う主体が変わり得るため、事業を引き継ぐ法人の登録状況、廃止・変更・業務承継等に関する手続を業種ごとに検討します。会社法上の権利義務の移転・承継と、金融業法上の登録等の扱いは分けて確認する必要があります。
M&Aの早い段階で規制上の手続を整理する
金融規制上の手続は、取引方法や取引の実行時期、契約条件に影響することがあります。必要となる登録・届出・公告等について、その実施主体と取引との前後関係を整理します。金融庁や財務局等への事前相談も一律に必要となる手続ではなく、業種、取引方法、変更する事業内容等を踏まえて要否や進め方を検討します。
| 業種 | 株式譲渡 | 事業譲渡・会社分割 | 合併 |
|---|---|---|---|
| 資金移動業 | 登録主体である法人は通常同一です。株主構成や役員等の変更について、届出の要否を確認します。 | 事業を引き継ぐ法人が資金移動業を行うために必要な登録を有するか確認し、譲渡・分割する側では業務の承継・廃止に伴う公告・届出等を確認します。 | 登録業者が合併により消滅する場合には、業務の承継・廃止に伴う公告・届出等と、合併後に資金移動業を行う法人の登録状況を確認します。 |
| 前払式支払手段(自家型) | 発行主体である法人は通常同一です。自家型発行者として届け出ている事項に変更が生じる場合の変更届を確認します。 | 資金決済法上の業務承継の特例が適用されるかを確認し、事業を引き継ぐ側・移転する側で必要となる届出等を整理します。 | 合併による業務の承継について、資金決済法上の業務承継の特例が適用されるかを確認し、必要な届出等を整理します。 |
| 前払式支払手段(第三者型) | 登録主体である法人は通常同一です。株主構成や役員等の変更について、届出の要否を確認します。 | 事業を引き継ぐ法人が第三者型発行者として必要な登録を有するか確認し、譲渡・分割する側の廃止等に関する手続も整理します。 | 登録主体が合併により消滅する場合には、合併後に発行業務を行う法人の登録状況と、消滅する側の届出等を確認します。 |
| 暗号資産交換業 | 登録主体である法人は通常同一です。株主構成や役員等の変更について、届出の要否を確認します。 | 事業を引き継ぐ法人の暗号資産交換業登録の有無を確認するとともに、事業譲渡・会社分割に伴う公告・届出等を確認します。 | 登録業者が合併により消滅する場合の公告・届出等と、合併後に業務を行う法人の登録状況を確認します。 |
| 電子決済手段等取引業 | 登録主体である法人は通常同一です。株主構成や役員等の変更について届出の要否を確認し、買収後に新たな種別の業務を行う場合には変更登録の要否も確認します。 | 事業を引き継ぐ法人の電子決済手段等取引業登録の有無を確認するとともに、事業譲渡・会社分割に伴う公告・届出等を確認します。 | 登録業者が合併により消滅する場合の公告・届出等と、合併後に業務を行う法人の登録状況を確認します。 |
| 貸金業 | 登録主体である法人は通常同一です。役員その他の登録事項に変更が生じる場合の届出を確認します。 | 事業を引き継ぐ法人が貸金業を営むために必要な登録を有するか確認します。譲渡・分割する側が貸金業を廃止する場合の届出や、事業を一部残す場合に必要となる変更手続等も確認します。 | 貸金業者が合併により消滅する場合には廃業等の届出を確認し、合併後に貸金業を営む法人の登録状況を確認します。 |
※暗号資産交換業については、令和8年7月公布の改正法の主要部分の施行後、暗号資産取引に係る規制の根拠法が変わります。第3章「令和8年改正について」もご覧ください。
※自家型前払式支払手段は、登録ではなく届出による制度であるため、表では「発行主体」と記載しています。
2 資金決済法――資金移動業と前払式支払手段
資金移動業と為替取引
資金移動業は、銀行等以外の者が、送金などの為替取引を業として行うための制度です。一般的な資金移動業は第一種・第二種・第三種に区分されます。第一種は取り扱う金額に上限がない一方、登録に加えて業務実施計画について認可を受ける必要があります。第二種は一件当たり100万円相当以下、第三種は一件当たり5万円相当以下の資金の移動に係る為替取引のみを取り扱う類型です。M&Aでは、対象会社が営む種別、登録内容、業務方法、利用者資金の保全方法と、取引後の事業計画との整合性を確認します。
収納代行・決済代行と為替取引
収納代行や決済代行という名称だけで、資金移動業への該当性が決まるわけではありません。契約関係、誰がどの立場で資金を受領するか、債務が消滅する時点、国内外の資金移動など、サービスの機能と実態から為替取引への該当性を検討します。現行法では、国境を跨いで行う収納代行についても為替取引規制との関係を明確化する規定と適用除外が設けられているため、具体的な取引構造の確認が必要です。
自家型・第三者型前払式支払手段
前払式支払手段は、あらかじめ対価を支払い、記録された金額や数量等を商品・サービスの支払いなどに利用する仕組みです。発行者等に対して使用する自家型と、それ以外の加盟店等でも使用できる第三者型では、届出・登録や事業移転時の扱いが異なります。自家型には、事業譲渡、合併、会社分割等による発行業務の承継について法律上の特例がありますが、第三者型について同じ扱いを前提とすることはできません。
利用者資金・発行保証金等の確認
資金移動業や前払式支払手段では、利用者資金や未使用残高について法定の保全制度があります。資金移動業では令和8年6月施行の改正により資産保全方法が多様化しており、法務調査では、対象会社が採用している保全方法、契約関係、算定・管理の運用、届出状況を確認します。前払式支払手段についても発行保証金の保全状況を確認し、買収後に資金の流れや保全方法を変更する場合には変更後の体制を検討します。
3 暗号資産・電子決済手段に関するM&A
暗号資産と電子決済手段の違い
現行の資金決済法では、暗号資産と電子決済手段は別の制度です。法定通貨の価値と連動するいわゆるステーブルコインのうち一定のものは、暗号資産ではなく電子決済手段に該当する場合があります。対象会社がどのような財産的価値を取り扱い、売買・交換、媒介、管理などのどの行為を行っているかから適用制度を確認します。
令和8年改正について
令和8年7月に公布された「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」では、暗号資産取引に係る規制を資金決済法から金融商品取引法へ移し、暗号資産を有価証券とは別の金融商品と位置付けて、その性質に応じた規制を設けることとされています。主要部分の施行日は政令で定める日とされており、施行後は、本章のうち暗号資産交換業を資金決済法上の登録業として説明している部分の前提が変わります。電子決済手段(いわゆるステーブルコイン)については、今回の改正で暗号資産と同様に金融商品取引法へ移管するものとはされておらず、資金決済法上の規律が引き続き残る構成です。M&Aや新規事業を検討する際には、取引時点で施行されている法令と経過措置を確認する必要があります。
暗号資産交換業・電子決済手段等取引業
暗号資産の売買・交換等を行う暗号資産交換業と、電子決済手段の売買・交換や管理等を行う電子決済手段等取引業には、それぞれ登録制度があります。令和8年6月からは、登録業者の委託を受けて一定の媒介を行う「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」の制度も設けられています。M&Aでは、対象会社の登録区分、取扱対象、委託関係、業務方法と実際のサービスとの一致を確認します。
株主・役員・利用者財産等の確認
暗号資産交換業者や電子決済手段等取引業者では、一定の株主に関する情報も登録申請事項とされており、株主構成や役員等の変更について届出の要否を確認します。これは、銀行・保険に設けられている一定の主要株主についての事前認可制度とは制度の仕組みが異なります。利用者の財産を事業者自身の財産と分けて管理する分別管理、外部委託、システム管理等も、対象事業に応じて法務調査の対象となります。
4 貸金業者・貸付事業を含むM&A
貸金業登録とM&Aの方法
貸金業を営むには、事業の範囲に応じて所管行政庁の登録が必要です。株式譲渡では登録主体が存続しますが、役員その他の登録事項について変更手続の要否を確認します。事業譲渡、会社分割、登録主体が消滅する合併では、事業を引き継ぐ法人の登録状況と、既存業者側の変更・廃業等の手続を整理します。
業務体制とグループ内貸付
法務調査では、営業所等に置くことが求められる貸金業務取扱主任者、財産的基礎などの登録・業務体制上の要件、返済能力調査、過剰貸付け等の禁止、契約書面等に関する運用を確認します。個人向け貸付けを行っている場合には、個人顧客に対する貸付けを一定の基準内に制限する、いわゆる総量規制について、適用除外・例外を含めた運用も確認します。グループ会社間の貸付けには一定の除外類型がありますが、グループ内であることだけを理由に貸金業法の適用がないとは判断できず、資本関係等の要件を個別に確認します。
貸付債権と過去取引
貸金業者のM&Aでは、現在の貸付残高に加え、過去の貸付条件、金利、返済履歴、債権譲渡等も確認します。旧来の貸付については、利息制限法等との関係や、いわゆる過払金返還請求を含む潜在債務を、貸付時期や取引経過に応じて検討します。貸付債権の譲受人に貸金業法上の規定が適用される場面と、貸金業登録の要否は区別して検討します。
5 金融規制を踏まえた法務調査とM&A契約
金融規制に関する法務調査
金融規制に関する法務調査では、登録・届出等が行われているかだけでなく、その内容と実際のサービスが一致しているかを確認します。利用者財産、本人確認・マネー・ローンダリング対策、外部委託、苦情・事故への対応、当局対応の履歴、社内規程と実際の運用の整合性なども対象事業に応じて調査します。割賦販売法、犯罪による収益の移転防止に関する法律、金融商品取引法などについても、サービスの内容に応じて適用関係を確認します。
表明保証・誓約・実行条件への反映
法務調査で確認した事項は、その重要性に応じて、対象会社の状態等について当事者が契約上確認する表明保証、取引実行前後の対応を定める誓約、補償等への反映を検討します。必要な登録・届出等が取引の実行に関係する場合には、取引の実行(クロージング)の前提条件とするかも検討します。金融規制上の問題をどのように契約へ反映するかは、その内容、是正の可能性、利用者への影響等に応じて判断します。
当局への事前相談
金融庁や財務局等への事前相談は、すべてのM&Aについて法律上義務付けられた手続ではありません。登録業務の移転、新たなサービスの開始、業務方法や体制の重要な変更等がある場合には、相談の要否や時期を検討することがあります。相談を行う場合も、当局の判断や登録の可否を予測するのではなく、予定する取引構造と法的論点を整理して進めます。
6 取引実行後の対応と新規事業の金融規制
取引実行後の変更届出と体制整備
M&Aの実行後には、株主、役員、商号、営業所、業務内容等の変更について、各業法上の届出その他の手続の要否を確認します。買収後にシステム、委託先、資金の流れ、商品設計等を変更する場合には、既存の登録内容や業務体制との整合性を改めて検討します。M&Aの実行をもって金融規制への対応が終了するとは限りません。
法令違反・届出漏れが判明した場合
買収後に過去の法令違反や届出漏れが判明した場合は、事実関係、現在も継続しているか、利用者への影響、是正方法などを整理します。その上で、当局への届出・報告その他の対応の要否を個別に検討します。違反や届出漏れがあることだけから、一律に対応方法を決めるものではありません。
後払い(BNPL)・決済サービスなどの新規事業
後払い(BNPL)や決済サービスは、サービスの名称だけで適用法令が決まるものではありません。立替払い、貸付け、信用購入あっせん、収納代行等の契約構造によって、貸金業法、割賦販売法、資金決済法等の適用関係が異なります。M&A後に新たなサービスを開始する場合だけでなく、自社で新規の金融サービスを検討している場合にも、具体的な事業スキームに基づいて規制該当性を確認します。
当事務所の支援
当事務所では、金融サービスの規制該当性の検討から、法務調査、取引方法の法的検討、契約条件への反映、監督当局への届出・相談等の手続の検討、取引実行後の対応まで、案件の状況に応じて支援します。買収側では対象事業の規制上の論点と取引後の体制を、売却側では事業の移転に必要な手続や契約上の対応を整理します。規制上の論点を取引条件や取引実行後の運用に反映し、紛争予防の観点も踏まえて検討します。税務、財務、企業価値評価については、それぞれの専門家との役割分担を前提として対応します。
よくあるご質問
Q1 金融サービス会社の株式を取得すると、対象会社の登録も取り直す必要がありますか。
株式譲渡では、登録を受けている法人自体は通常変わりません。ただし、株主構成、役員、商号、業務方法その他の事項に変更が生じる場合には、業種ごとに届出その他の手続の要否を確認します。買収後にサービス内容を変更する場合には、その変更が既存の登録・届出等に与える影響も検討する必要があります。
Q2 財務調査(財務デューデリジェンス)の担当チームとは、どのように連携しますか。
財務調査の担当チームがある案件では、依頼者の意向と各チームの役割分担を踏まえ、必要な範囲で情報を共有しながら法務調査を進めます。法務調査では、契約書や取引を裏付ける資料を確認し、必要に応じて関係者へのヒアリングを通じて事実関係を確認します。会計上の検討と法的観点からの事実関係の確認では着眼点が異なるため、法務調査で確認した資料や事実関係と、財務調査で把握された内容との整合性にも留意し、気付いた点は財務調査の担当チームにも共有します。複数の関係者・取引を通じて資金や商品等が循環する、いわゆる循環取引などでは、契約関係と実際の取引の流れを併せて確認することが重要です。重複や確認漏れを避ける観点から、案件ごとに役割分担を整理します。
Q3 事業譲渡や会社分割で金融サービス事業を引き継ぐことはできますか。
業種や取引方法によって扱いが異なります。例えば、自家型前払式支払手段には一定の場合の業務承継について法律上の特例がありますが、他の登録業務について同じ扱いを前提とすることはできません。事業を引き継ぐ法人の登録状況と、移転する側の廃止・変更・公告・届出等を個別に確認します。
Q4 金融サービス会社を買収する場合、金融庁や財務局への事前相談は必要ですか。
すべてのM&Aについて一律に事前相談が義務付けられているわけではありません。他方、登録業務の移転、新たなサービスの開始、業務方法や体制の重要な変更などがある場合には、相談の要否や時期を検討することがあります。事前相談を行う場合も、当局の判断や登録の可否をあらかじめ予測するものではありません。
Q5 収納代行や決済代行であれば、資金移動業の登録は不要ですか。
収納代行や決済代行という名称だけでは判断できません。契約関係、誰がどの立場で資金を受領するか、債務が消滅する時点、国内外の資金移動などから、為替取引への該当性を検討します。現行法では国境を跨ぐ収納代行についても為替取引規制との関係を確認する必要があります。
Q6 貸金業者のM&Aでは、どのような潜在債務を調査しますか。
登録・届出等や業務体制に加え、貸付条件、金利、返済能力調査、過剰貸付け等に関する対応、債権管理、債権譲渡などを対象会社の事業内容に応じて確認します。旧来の貸付がある場合には、利息制限法等との関係や過払金返還請求を含む潜在債務も検討します。過払金については、取引時期や取引経過等によって法的評価が異なるため、一律の期間だけで判断しません。
Q7 対象会社の登録・届出等については、売主側の説明を前提としてよいですか。
法令上、M&Aの買主に一律の確認義務が課されるという趣旨ではありませんが、実務上は買い手側でも確認することをお勧めします。必要な登録・届出等が実際のサービス内容に合っているかは、登録の有無や売主側の説明だけでは判断しにくいことがあるためです。取引実行後に不足が判明する事態を避けるため、法務調査では、登録・届出等の内容と実際のサービス、契約関係、資金の流れなどを照合します。確認した事項は、必要に応じて株式譲渡契約における表明保証や、特定のリスクについての個別の補償条項に反映することを検討します。
Q8 金融規制違反や届出漏れが法務調査で見つかった場合はどうしますか。
まず、事実関係、現在も継続しているか、利用者への影響、是正の方法などを整理します。その上で、当局への届出・報告その他の対応の要否を検討し、必要に応じて表明保証、誓約、補償、取引実行の前提条件等の取引条件にも反映します。違反や届出漏れがあることだけを理由に、常に同じ対応を取るわけではありません。
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金融サービス事業を含むM&A・金融規制についてご相談ください
金融サービス会社の買収・売却や金融サービス事業の移転では、取引方法によって登録・届出その他の金融規制上の手続が異なる場合があります。新規事業を含め、対象サービスの規制の適用関係、法務調査、取引方法や契約条件の検討、取引実行前後の手続についてご相談いただけます。
金融サービスのM&A・金融規制について相談するご依頼の可否・支援範囲は、利益相反等を確認した上で個別にご案内します。
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。具体的な対応については、当事務所までご相談ください。記事の内容は最終更新日時点の法令等に基づいています。
