M&A & Business Succession
M&A(合併・買収)の法務支援
M&Aでは、買収・売却の目的に応じて取引の方法を選び、法的な課題を契約条件や実行後の運営に反映させることが重要です。当事務所は、日本企業の買収・売却やオーナー経営者の事業承継型M&Aについて、取引方法の検討から法務調査、契約交渉、取引の実行、買収後の法務まで支援します。海外企業の買収や海外子会社の売却、外国企業への売却についても、必要に応じて現地法弁護士・専門家と連携し、関係する法制度と取引条件を整理します。
分野別の解説 金融サービス事業を含むM&Aについては「金融サービス会社のM&Aと金融規制」を、国境をまたぐM&Aについては「クロスボーダーM&Aと規制対応」を、それぞれ別の解説としてご用意しています。本ページでは、分野を問わず共通する取引の流れを説明します。
当事務所は、国境をまたぐクロスボーダーM&Aを取り扱い、外資規制・安全保障貿易管理を含む法的課題の検討を支援しています。
まず確認すること
以下は、ご相談の際に分かる範囲で共有いただきたい事項です。未定の事項がある段階や、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。
- 買収・売却の目的と、ご相談者の立場――事業の拡大、海外進出、事業の切り出し、第三者への事業承継など、検討の目的を整理します。買い手・売り手の別に加え、会社、経営者、株主など、どの立場からのご相談かもお知らせください。
- 対象会社・事業と、関係する国・地域――対象となる会社や事業の内容、所在地、主要な子会社・拠点を整理します。海外との関係がある場合は、取引相手の所在国に加え、対象事業の販売先や技術・情報の提供先も、分かる範囲で確認します。
- 想定する取引方法と、株式・事業の範囲――株式譲渡、事業譲渡、合併など、想定している方法と、取引の対象に含めたい範囲を整理します。株式の売却では、株主構成や保有関係について把握している内容も確認します。
- 現在の交渉段階と、締結済みの書類――相手方との協議の状況、秘密保持契約や基本合意書の有無を整理します。すでに提示・合意した条件や、他の候補先との交渉を制限する取決め(独占交渉)がある場合は、その内容も確認します。
- 希望日程と、意思決定・支援の体制――契約締結や取引実行の希望時期と、その時期を希望する理由を整理します。社内の決裁者・窓口、仲介会社・FA(M&Aの取引条件などについて助言するアドバイザー)、税理士・会計士など、関与している方もお知らせください。
- 資料の所在、把握している課題と情報開示の状況――会社・株式関係の資料、主要契約、許認可、労務、知的財産などの資料の所在と、すでに認識している課題を整理します。相手方に開示済みの情報や、開示範囲を慎重に検討したい技術情報・個人データについても確認します。
- 借入金・保証・担保と、資金調達の状況――対象会社等の借入金、経営者やグループ会社による保証、担保の設定状況を整理します。買収資金の調達や借換えの予定、グループ内の貸付け・借入れについても、分かる範囲でお知らせください。
- 従業員・取引先への対応と、取引後の体制――事業の継続、雇用・取引の維持、経営・管理体制について、取引後も重視したい条件を整理します。売り手による移行期間中の支援や、経営者が役員・顧問として関与する予定があれば、その内容もお知らせください。
初回のお問い合わせには、案件の概要をご記載ください。詳細資料の送付方法は、個別にご案内します。
ご相談いただけること取引方法の検討・秘密保持契約・基本合意/法務調査と情報開示/契約交渉・クロージング/クロスボーダーM&Aの規制対応/事業承継型M&A/PMI・買収後のガバナンス整備(法務面)
お問い合わせフォームへ目次
1 M&Aの全体像と初期検討
本ページは、非上場会社の株式・事業を対象とするM&Aを中心に整理します。
取引目的と取引方法の選択
M&Aの方法には、株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割などがあります。どの方法を選ぶかは、取引の対象、契約・債務・雇用の取扱い、許認可の承継、必要な社内手続などの違いを踏まえ、「何を引き継ぎ、何を残すか」という目的に沿って検討します。税務・会計面の検討は、税理士・会計士等と連携して進めます。
秘密保持契約・基本合意
情報開示に先立ち、秘密保持契約で開示の目的、範囲、取扱い、交渉が成立しなかった場合の措置を定めます。基本合意書では、取引の枠組み、独占交渉、調査への協力、費用負担を整理し、どの条項に法的拘束力を持たせるかを明確にします。意向表明書を含め、書面の名称だけでなく、合意の有無や条項ごとの効力を確認することが重要です。
日程と役割分担の整理
一般的には、初期検討の後、法務デューデリジェンス(対象会社・事業の法的事項を調べる手続。以下「法務調査」といいます)、契約交渉、クロージング(取引の実行)、PMI(買収後の統合)へと進みます。規制上の手続、資金調達、買収後の経営・管理体制については、契約交渉や法務調査と並行し、初期段階から検討します。依頼者、仲介会社・FA、税理士・会計士等の役割分担も、この段階で確認します。
2 法務デューデリジェンスと情報開示
買い手の調査と売り手の準備
法務調査では、会社・株式関係、主要契約(支配権の変更に関する条項を含みます)、許認可、労務、知的財産、個人情報、紛争や法令遵守の状況などを確認します。売り手側では、資料の整理、質問への回答、開示内容の確認が必要になります。調査の対象と優先順位は、案件の目的・規模・資料の状況に応じて検討します。
調査結果の評価と取引条件への反映
確認された事項は、問題点の一覧にとどめず、追加調査、実行前の是正、契約上の表明保証(一定の事実が真実・正確である旨の表明と保証)・補償、実行条件(取引を実行するための前提条件)、買収後の対応を、必要に応じて組み合わせて検討します。この検討が、契約交渉と買収後の体制整備の基礎になります。
機密情報・個人データの管理
開示する資料の範囲、閲覧権限、目的外利用の制限、交渉終了時の返還・消去を取り決めます。相手方が競争関係にある場合には、価格・顧客等の情報を扱う担当者を限定する方法も検討します。個人データについては、事業承継に伴う提供に関する取扱いと、外国にある第三者への提供に関する要件を、それぞれ別に確認します。技術情報の開示については、第4章で触れる輸出管理の観点からの確認も必要です。
3 契約交渉とクロージング
対価・表明保証・補償の設計
M&A契約では、対価とその調整方法、支払条件のほか、表明保証の内容や、違反等があった場合の補償の範囲・上限・期間を検討します。買い手側では、調査で確認した事項への対応と履行の確保、売り手側では、開示した内容と負うべき責任の範囲を明確にすることが軸になります。企業価値の評価そのものと、合意した対価・調整方法をどう契約に定めるかは、区別して検討します。
表明保証保険(W&I保険)の検討
表明保証違反による損失への備えとして、案件によっては表明保証保険の利用を検討します。当事務所は、M&A契約と保険条件の整合、補償の対象、対象外となる事項などを法的な観点から確認します。
実行条件の充足とクロージング
契約の締結と、取引の実行は区別されます。必要な社内承認、取引先等の同意、規制上の手続を、契約締結前・実行前・実行後に分けて整理します。実行時には、実行条件の充足や必要書類を確認し、取引方法に応じて対価の支払や権利の移転等を行います。事前届出等により所定の期間は実行が制限される場合もあるため、審査等に要する期間を日程に織り込み、実行条件が満たされない場合の対応も契約段階で定めておきます。
4 クロスボーダーM&Aの規制・契約・進行管理
投資規制・企業結合審査
日本企業による海外企業の買収・海外子会社の売却では、現地の投資規制等に加え、日本側の対外取引に関する手続を確認します。日本企業の株式・事業の売却では、外国為替及び外国貿易法(外為法)上の外国投資家に買い手が該当するかを、外資系の日本法人も含めて確認します。その上で、対象会社の事業や取引構造に応じ、対内直接投資等・特定取得の届出・報告の要否を検討します。これとは別に、独占禁止法・海外競争法上の企業結合届出の要否を、取引類型、関係する企業グループの売上高・議決権等に応じて確認します。必要な対応は、契約条項や実行条件、日程に反映します。
輸出管理と技術・データの移転
安全保障貿易管理(輸出管理)は、買収後の製品輸出だけの問題ではありません。法務調査の過程での技術資料の開示、技術者間の情報共有、買収後の研究開発や技術移転について、国内での提供を含め、技術の内容、提供先、用途、提供方法を踏まえて許可の要否を確認します。確認結果は、開示範囲・時期や買収後の管理体制に反映します。外国にある第三者への個人データの提供は、これとは別の法的確認事項として扱います。
英文契約・準拠法・紛争解決
英文のM&A契約では、翻訳の正確さだけでなく、表明保証・補償、開示の位置付け、実行条件などが契約に適用される法律(準拠法)の下でどのような効果を持つかを検討します。準拠法と紛争解決方法は分けて定め、裁判と国際仲裁のいずれを選ぶか、仲裁を選ぶ場合には仲裁機関・規則、仲裁地、言語などを、相手方や資産の所在も踏まえて検討します。
現地法弁護士との連携と進行管理
現地法上の確認事項と担当する専門家を整理し、現地法弁護士の確認結果を日本側の意思決定や契約条件に反映します。言語・時差・商慣行の違いは、契約書の版管理、社内承認の手順、公証・認証等の要否、実行に必要な段取りの調整として具体的に扱います。
5 事業承継型M&Aと株式・保証の整理
株式の保有関係と会社・経営者間の整理
株主名簿と実際の保有関係、過去の株式移転や相続に伴う未整理事項、譲渡制限の有無を確認します。経営者と会社との貸付け・借入れ、個人所有資産の会社による利用、関連当事者との契約についても、譲渡前後の取扱いを整理します。
経営者保証・担保と取引条件
株式を売却しただけで、経営者保証や担保が当然に外れるわけではありません。保証契約・担保の内容を確認し、金融機関との協議を踏まえて解除・変更の条件と手続を整理します。実行条件とする事項は実行前又は実行時に充足を確認し、実行後に行う手続がある場合は、その内容・期限・確認方法も定めます。
従業員・取引先への対応と承継後の関与
従業員や取引先への説明の内容・時期、必要な同意・手続は、株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割のいずれを採るかによって異なります。経営者が役員・顧問として残る場合には、役割、期間、権限、引継ぎへの協力を、希望事項にとどめず契約上の取決めとして定めます。役員の選任等に必要な会社手続も確認します。
6 PMI・買収後のガバナンス整備と支援内容
買収後の労務・ガバナンス
PMIでは、役員構成と意思決定権限、社内規程、労務管理、報告体制、コンプライアンスなどの法務面を整えます。海外子会社については、現地の会社法・労働法等との整合を確認しながら、日本側の管理方針を具体化します。
契約・規制対応の引継ぎ
法務調査で確認した未解決事項、継続して必要な契約上の対応、許認可・規制上の義務、知的財産・個人情報・輸出管理の管理体制は、買収後の対応事項として引き継ぎます。PMIの準備は、取引の実行前から始めます。
当事務所の支援と専門家との連携
当事務所は、M&A全体の法務支援のほか、法務調査や契約書の検討など、特定の工程に限った支援も行います。仲介会社・FA、税理士・会計士、現地法弁護士等との役割分担を踏まえ、依頼者の立場から法的課題を整理します。
訴訟事件の審理経験を有する弁護士の知見も、契約条項の明確化や紛争予防の検討に活かしています。
よくあるご質問
Q1 相手方や取引方法が決まっていない段階でも相談できますか。
はい。買収・売却の目的、対象となる事業、希望する条件などを伺い、法的な検討事項や準備すべき事項を整理します。取引方法が未定の段階や、相手方から意向表明書(LOI)や基本合意書の案が提示され、その内容を検討する段階からもご相談いただけます。
Q2 買い手側だけでなく、売り手側からも依頼できますか。
買い手側・売り手側のいずれからもご相談を受け付けています。ただし、当事務所が同一案件で買い手と売り手の双方を代理することはありません。会社と経営者・株主との利害関係も確認し、依頼者と支援範囲を明確にした上で対応します。
Q3 仲介会社やFA、税理士・会計士が関与していても依頼できますか。
はい。既に関与している方との役割分担を確認しながら、法的リスクの検討、契約書の作成・交渉、規制対応などを支援します。法務調査や契約書の検討など、特定の工程についてのご相談も受け付けています。
Q4 海外企業の買収や海外子会社の売却も相談できますか。
はい。当事務所は、海外企業の買収や海外子会社の売却を含むクロスボーダーM&Aを取り扱っています。関係する国・地域、事業内容、取引の構造を踏まえ、必要に応じて現地法弁護士・専門家と連携して支援します。
Q5 外国企業に日本の会社を売却する場合、どのような確認が必要ですか。
買い手の出資関係、対象会社の事業、取得する株式や権利の内容などを踏まえ、外為法に基づく届出・報告や企業結合届出等の要否を確認します。技術情報・個人データの開示に関する事項も整理し、必要な対応を契約条件や実行日程に反映します。
Q6 株式譲渡で会社を売却すれば、経営者保証もなくなりますか。
株式を売却しただけで、経営者保証が当然になくなるわけではありません。保証契約の内容を確認し、金融機関との協議や、解除・変更に必要な手続を検討します。売買当事者間の取決めだけでなく、金融機関との関係で保証がどのように取り扱われるかを確認することが重要です。
Contact
M&A・事業承継に関するご相談
買収・売却の検討段階から、進行中の契約交渉、買収後の法務課題までご相談を受け付けています。国内案件・クロスボーダー案件の別、現在の進行状況、ご相談事項の概要を、お問い合わせフォームからお知らせください。
M&Aについて相談するご依頼の可否・支援範囲は、利益相反等を確認した上で個別にご案内します。
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。具体的な対応については、当事務所までご相談ください。記事の内容は最終更新日時点の法令等に基づいています。
