上場準備・内部管理体制整備の法務支援

上場準備の法務課題について、問題の発見・是正から、社内の仕組みへの反映、運用状況の確認、審査に向けた説明資料の整理までを支援します。

未払残業代、関連当事者取引、ストックオプションの瑕疵、知的財産の権利帰属。問題を把握することと、精算されていること、再発しない仕組みになっていること、実際に運用されていること、そして経緯を説明できることは、それぞれ別のものとして扱われます。

国内市場および米国市場の上場準備に対応しています。申請する市場によって、確認すべき資料と手続が異なります。

上場を予定されていない体制整備(M&Aによる譲渡の準備、大企業との取引開始に備えた整備)、および上場後の運用にも、同じ枠組みで対応します。

課題ごとに、どこまで対応できているかを整理します

問題を把握した段階と、是正を実施した段階、社内の仕組みとして運用されている段階では、必要な対応が異なります。当事務所は、法務課題ごとに事実関係と法的な論点を確認し、対応状況と残る作業を整理します。

すべての課題を同じ順序で進めるものではなく、是正と制度整備を並行して行う場合や、すでに整備された制度の運用確認から関与する場合もあります。会社のご担当者や関係する専門家と役割を分担し、必要な対応を進めます。

  1. 発見・診断 — 何が問題かを明らかにする資料や業務の実態を確認し、法的な問題、追加確認が必要な事項、優先して対応すべき事項を整理します
  2. 是正 — 過去・現在の問題への対応を進める問題の法的な影響と対応方法を検討し、未払金の精算、取引条件の見直し、権利関係の整理など、必要な是正の実施を支援します
  3. 制度化 — 問題を繰り返さない仕組みに反映する是正内容を踏まえ、規程、契約、承認手続、業務フローなどを見直し、社内で継続して運用するための仕組みを整えます
  4. 運用・証跡化 — 実際の運用と記録を確認する会社が実施する運用とその記録を確認し、定めた手続と実際の業務にずれがないか、追加の見直しが必要かを検討します
  5. 開示・審査説明 — 経緯と現状を資料で説明する問題の経緯、実施した対応、現在の状況と残る課題を整理し、申請・開示資料の法務部分や質問への回答の検討を支援します

申請市場に応じて、対象となる資料の法務事項を確認します。国内市場では、プライム市場・スタンダード市場の「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅱの部)」、グロース市場の「新規上場申請者に係る各種説明資料」などが対象となります。米国市場への上場では、確認すべき資料と手続が異なります。当事務所は、日本法に関する事項(組織・内部管理体制、契約・社内規程、説明資料の法務部分)を担当し、現地法に関する事項は、当該法域の資格を有する弁護士と分担します。分担の範囲は、着手の時点で確認します。

対応状況の整理の例

広告表示の審査体制 規程・承認手続の見直しは実施済み。過去の表示への対応と、新手続による審査記録の確認は継続中。次に、対象表示への対応状況と実際の審査記録を確認する。

課題業務委託契約により役務提供を受けている者について、労働者性の疑義がある
確認済みの事実契約書上の条項、報酬の算定方法
未確認の事項実際の指揮命令の有無、就業場所・時間の指定、他社業務の受託可否、業務用機器の負担者
現時点の評価暫定。上記の確認により結論が分かれる
評価の進め方実際の業務内容、指示・拘束の状況、報酬の性格などを個別に確認し、これらを総合して法的評価を行う。一つの事情のみで結論を決めない
評価に応じた対応労働者性が認められる方向の評価となる場合:契約類型の再整理と雇用への切替、過去の取扱いへの対応方針の決定。認められない方向の評価となる場合:契約条項と実際の運用の整合を取り、誤解を生む条項を改める
担当当事務所(法的評価・契約の見直し)、人事(実態確認・切替の実行)、社労士(社会保険・労働時間の集計)
対応済み/残る事項— / 実態確認、方針決定、切替の実行、切替後の運用の確認
完了を確認する資料実態確認の記録、新契約書、切替の稟議、および切替後の運用が継続していることを確認する資料(勤怠記録、指揮命令に関する社内周知の記録)

是正と運用を、何で確認するか

課題確認する事項の例
未払残業代過去の対象範囲・精算状況に加え、現在の勤怠把握、賃金計算、支給記録の整合を確認します
関連当事者取引解消する取引は解消の実態・確実性を確認します。継続する取引は、必要性・条件・承認・継続的な確認方法を整理します
ストックオプション発行・付与条件、必要な手続、権利の管理が整合しているか、今後の管理方法が定まっているかを確認します
知的財産の権利帰属既存の権利関係への対応と、新たな開発・委託で権利を適切に確保する契約・運用を、分けて確認します
過去の増資・決議の瑕疵瑕疵の法的影響と採り得る対応を確認します。過去の問題への対応と、今後の手続管理の見直しを区別します

是正や運用確認に必要な期間 必要な期間は、問題の内容、過去の対応範囲、社内で実施する作業、確認すべき運用記録によって異なります。当事務所は、事実関係と残る作業を整理し、会社や関係する専門家と日程を検討します。一定の月数が経過したことだけをもって、是正や上場準備上の対応が完了したと判断するものではありません。

関連する経験と、支援事例

上場準備に伴う組織・業務体制の整備

上場準備を進める企業グループに対し、当事務所の弁護士らがご担当者と週2回の定例ミーティングを行うことで進捗や課題を共有しつつ、社内のチャットツールを用いた継続的な協議を行い、法務支援を行いました。

機関設計・取締役会・決裁体制の見直し、社内規程の整備と稟議フローの設計、人事労務上の課題への対応、関連当事者取引・グループ会社管理に関する検討を担当し、いずれについても当事務所で原案を作成し、社内のご担当者と内容を確定しました。

関連する経験を持つ弁護士

代表弁護士は、IT・金融・医療製薬・製造業の企業を対象に、M&A、国内外の上場支援、組織体制の整備に従事してきました。規制対応・労務・広告表示については、個人情報保護法、労働法、医療広告規制を取り扱い、労務デューデリジェンスの経験を持つ弁護士が在籍しています。

貴社・他の専門家との役割分担

以下は一般的な役割分担の例です。実際の担当範囲は、案件ごとに関係者と整理します。

主幹事証券会社上場準備に関する助言、引受審査、上場申請・審査対応の支援
監査法人会計監査、内部統制監査
IPOコンサルタント全体スケジュールの管理、資料作成の進行
社会保険労務士労働時間の集計、就業規則の届出、社会保険の手続
当事務所法令適合性の判断、法的リスクの評価、是正方法の選択と実施の支援、残るリスクの整理、契約・規程・説明内容の検討
貴社事実の確認、事業上の意思決定、体制の整備と運用、申請資料の作成

財務報告・内部統制との法務上の連携

財務報告や予算管理、内部統制の整備・運用は、会社のご担当部門と当該分野の専門家が中心となって進めます。当事務所は、契約関係や法的リスクの整理、社内の権限・決裁手続など、法務に関係する事項を担当します。

上場申請・審査説明への法務支援

会社が主体となり、主幹事証券と連携して進める申請資料の準備について、当事務所は法務事項の整理・確認を支援します。問題が生じた経緯、実施した対応、現在の状況や残る課題を整理し、資料の記載や質問への回答を検討します。

ご依頼の範囲、費用、開始までの手順

対象範囲と期間を確定したうえで、段階ごとのお見積りを基本としています。発見・診断と、対応方針の整理のみをご依頼いただき、その結果を踏まえて以降の範囲を決める進め方が可能です。この段階で、当事務所の関与が不要と判断される場合は、その旨をお伝えします。

全社的な整備が必要な場合は、常駐対応サービスを組み合わせ、稼働日ベースでご契約いただく形が効率的なことがあります。

  1. 指摘事項の資料、これまでの経緯、社内の体制をお知らせいただく
  2. 追加で確認すべき事実と、初期の事実確認に必要な範囲をお示しする
  3. 範囲・期間・費用のご提案
  4. 着手

バックオフィス構築における法務・内部管理体制の整備

「バックオフィス構築」には、法務のほか、人事、経理、情報システム、総務にわたる整備が含まれます。当事務所が担うのは、このうち法務および内部管理体制に関する部分です。

領域主な成果物
人事労務・法務就業規則・関連規程、労働時間管理の運用手順、職務権限規程、稟議フロー、契約書ひな形、案件管理の仕組み
広告審査広告審査規程、審査基準(表現ごとの区分)、審査フロー、審査記録の様式、担当者向けの研修
情報セキュリティ・個人情報・データインシデント対応規程、初動フロー、報告・通知・公表の判断基準、連絡体制、机上訓練、AI利用ルール
渉外照会・ヒアリング・立入検査への対応手順、社内のエスカレーションルール
経理(連携)提携する公認会計士・コンサルタントと協働

よくあるご質問

依頼すると、さらに問題点を指摘されるだけになりませんか。

当事務所の関与は、問題の発見の段階で終わりません。是正の実施と、社内の仕組みへの反映まで担います。最初にお示しするのは、問題の一覧ではなく、対応済みの事項、残る事項、次の作業です。当事務所が担う範囲と、社内・他の専門家が担う範囲も、その時点で定めます。

規程のひな形だけ提供してもらえますか。

ひな形のみでは、実態に合った規程・運用になっているかを確認できません。規程があることと、それが運用されていることは別のものとして扱われます。運用の実態を確認したうえで、規程と運用をあわせて設計することを基本としています。

どのくらいの期間で是正が完了しますか。

必要な期間は、問題の内容、過去の対応範囲、社内で実施する作業、確認すべき運用記録によって異なります。事実関係と残る作業を整理したうえで、日程を検討します。一定の月数が経過したことだけをもって、対応が完了したと判断するものではありません。

労務の実態に不安があり、調べること自体をためらっています。

そのまま審査に進む方がリスクは高くなります。まず全体像を把握し、どの範囲に、どの程度の対応が必要かを整理するところから始めます。なお、精算の範囲を狭く取りすぎると、審査で改めて問題になることがあります。法的な評価に基づいて対象範囲を先に確定し、限定する場合はその理由を説明できるようにしておくことをお勧めします。

上場を予定していませんが、体制を整えたいのですが。

対応します。M&Aによる譲渡の準備、大企業との取引開始に必要な体制整備など、上場以外の目的でのご依頼にも同じ枠組みで対応します。

Contact

現在受けている指摘、これまでの経緯、社内の体制をお伺いし、何から着手すべきかを整理します。当事務所の関与が不要と判断される場合は、その旨をお伝えします。

指摘事項を拝見してご相談に応じます