Regulatory Compliance

景品表示法の違反指摘・自主是正・行政対応

景品表示法に関する疑義や指摘は、社内の点検や顧客からの問合せで見つかることもあれば、消費者庁・都道府県からの報告の求めや資料の提出要求、適格消費者団体からの申入れとして届くこともあります。どの場面でも、対象となる表示と取引の実態、表示が現在も続いているか、誰から何を求められているかを整理することが出発点になります。

会社は、表示の停止・修正や顧客への対応を検討しながら、回答や資料提出の期限に対応することになります。確約手続、課徴金の自主報告や返金措置による減額、適格消費者団体への対応は、それぞれ要件と効果が異なる制度です。

当事務所は、問題となる表示と資料の整理、是正の方針、当局・消費者団体への回答、命令を受けた後の対応や取消訴訟の検討を支援します。

監修:吉川 景司(弁護士・弁理士/第一東京弁護士会)

最終更新日:

まず確認すること

以下は、疑義や指摘が生じた際に会社が確認する事項の例です。

  1. 指摘の相手方と、求められていること――指摘をした者(消費者庁、都道府県、適格消費者団体、取引先、顧客など)、受領した文書と受領日、求められている回答・提出の内容と期限を確認します。
  2. 対象となる表示――問題とされている文言・画像・動画・注記と、対象となる商品・サービスを特定します。
  3. 掲載の期間と範囲――表示の開始・変更・終了の時期と、現在も残っている掲載先を把握します。
  4. 記録の保全――修正前の表示、掲載の履歴、根拠とした資料、制作・承認の記録を、修正や削除の前に保存します。
  5. 表示と実態の差――表示と実際の商品・取引とのどこに違いがあり、何が判明していて何が未確認かを分けて整理します。
  6. 販売の実績――対象商品の販売期間、売上額、購入者の範囲を把握できるかを確認します。
  7. 既に行った対応――表示の停止・修正、公表、顧客への説明・返金について、既に実施したことや約束したことを確認します。
  8. 過去の処分と、当局とのやり取り――過去の措置命令・課徴金納付命令の有無と、今回の報告・資料提出の状況を確認します。

すべての確認を終えるまで、表示の停止や修正の判断を待つ必要はありません。記録の確保と並行して検討します。

ご相談いただけること対象表示と資料の整理/表示の停止・修正の検討/公表・顧客対応/報告・資料提出への対応/確約手続・課徴金の検討/弁明・取消訴訟/適格消費者団体への回答

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目次
  1. 1 疑義の発見から、自主的な是正まで
  2. 2 消費者庁・都道府県の調査と、刑事責任
  3. 3 確約手続・課徴金・命令を受けた後の対応
  4. 4 適格消費者団体からの申入れ・開示要請・差止請求
  5. よくあるご質問

1 疑義の発見から、自主的な是正まで

問題となる表示と、指摘の内容を特定する

会社は、対象となる表示を、媒体、掲載の時期、対象商品ごとに特定します。問題とされている表示が一般消費者にどのような内容として伝わるかについて見解が分かれる場合には、その点の検討が対応の方針を左右します。表示の意味内容の判断は、「広告の表示内容の判断と強調表示・打消し表示」で解説しています。

表示・根拠資料・取引の記録を保全する

修正前後の表示、表示の当時に根拠とした資料、販売の記録、制作と承認の経緯は、是正の範囲を決めるためにも、当局や消費者団体に説明するためにも必要になります。管理措置指針も、表示等の根拠となる情報を事後的に確認するための措置として、資料の保管等を挙げています。

表示の停止・修正と、販売方法の見直し

表示の修正で対応できる事項と、販売の条件や提供の内容まで見直す必要がある事項とを分けて検討します。ウェブサイトやSNS、店頭、パンフレットなどに、同じ内容の表示が残っていないかも確認します。管理措置指針は、不当な表示等が明らかになった場合の対応として、事実関係を迅速かつ正確に確認すること、一般消費者の誤認を排除すること、再発防止に向けた措置を講じることを挙げています。

公表・顧客への説明・返金を検討する

誤認を解消するための公表や、顧客への個別の説明、返金は、会社が自主的に行う対応として検討されることがあります。指針に関するQ&Aは、周知の方法は商品・役務の特性等に応じて個別に判断されるとし、全国で行われ購入者も全国にいる場合には全国紙、特定の地域のみで行われていた場合にはその地域の地方紙による周知が考えられるとしています(Q37)。販売を終えた商品であっても、不当な表示を行っていたことが判明した場合には、誤認を排除する対応が必要とされています(Q34)。指針の別添は、一般消費者の誤認を取り除くために必要がある場合には、速やかに一般消費者に対する周知(例えば、新聞、自社ウェブサイト、店頭での貼り紙)及び回収を行うことを、不当な表示等が明らかになった場合の対応の例として挙げています。会社は、表示が届いた範囲、購入者を特定できるか、影響が続いているかを整理したうえで、公表や個別の通知の方法と範囲を決めます。なお、顧客に返金したことだけで、課徴金の制度上の減額が認められるわけではありません。制度上の返金措置には、計画の認定などの手続があります(10条・11条)。

2 消費者庁・都道府県の調査と、刑事責任

報告の求めと、その根拠を確認する

景品表示法を施行するため必要があると認めるときは、事業者に報告をさせ、帳簿書類その他の物件の提出を命じ、立入検査や質問をさせることができるとされています(25条1項)。この報告や物件の提出をしない場合、虚偽の報告をした場合、検査を拒んだ場合などには、罰則があります(47条)。任意の照会か、25条に基づく報告の求めかによって法的な効果が異なるため、会社は、文書に記載された根拠条文と期限を確認します。

施行令23条により、都道府県知事も、措置命令と、そのための報告の求めや、根拠資料の提出要求を行うことができます。都道府県知事が行う事務には、課徴金納付命令は含まれていません。

根拠資料の提出を求められたとき

優良誤認表示に当たるかを判断するため必要があると認めるときは、期間を定めて、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとされています(7条2項・8条3項)。その期間は、期間内に提出しないことについて正当な事由があると認められる場合を除き、提出を求める文書を交付した日から15日を経過する日までとされています(施行規則7条2項)。期間内に、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を提出しないときは、措置命令との関係では優良誤認表示とみなされ(7条2項)、課徴金納付命令との関係では優良誤認表示と推定されます(8条3項)。何らかの資料を形式的に提出すれば足りるわけではありません。新たな又は追加的な試験・調査が必要であることは、期限を延長する正当な事由とは認められないとされています(不実証広告規制に関する指針)。資料の評価については、「効果・性能表示の根拠資料と不実証広告規制」で解説しています。

弁明の機会と、事実関係の説明

措置命令をしようとするときは、原則として、行政手続法に基づく弁明の機会の付与の手続がとられ、予定される処分の内容と原因となる事実などが書面で通知されます(行政手続法13条1項2号・2項・30条)。課徴金納付命令については、景品表示法に弁明の機会の付与の規定があり、納付を命じようとする課徴金の額や計算の基礎などが書面で通知されます(13条・15条)。弁明にあたっては、表示の内容、取引の実態、提出した資料、表示の当時の確認の経緯について、事実と法的な評価とを区別して主張を整理することが考えられます。

直罰と、両罰の規定

優良誤認表示・有利誤認表示をした者に対しては、措置命令を前提とせずに、100万円以下の罰金を科す規定があります(48条)。この罪には過失を処罰する定めがないため、故意がある場合に処罰の対象となります(刑法38条1項)。法人の代表者や従業者等が法人の業務に関して違反した場合には、行為者のほか、法人にも罰金刑が科されます(49条1項2号)。これとは別に、措置命令に違反した場合には、2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(情状により併科)が定められ、法人の業務に関する違反であれば、法人にも3億円以下の罰金が科されます(46条・49条1項1号)。

3 確約手続・課徴金・命令を受けた後の対応

確約手続

消費者庁は、違反の疑いがある場合に、その行為をしている事業者に対し、確約手続の対象となる旨を書面で通知することができます(26条。既になくなった行為については30条)。この通知は、措置命令に係る弁明の機会の付与の通知や、課徴金納付命令に係る弁明の機会の付与の通知をした後はできないとされています(26条・30条のただし書)。通知を受けた事業者は、通知を受けた日から60日以内に、是正措置計画(既になくなった行為については影響是正措置計画)を作成して認定を申請することができます(27条1項・31条1項)。計画が認定されると、認定が取り消されない限り、通知の理由となった行為については、措置命令と課徴金納付命令の規定が適用されません(28条・32条)。

確約手続に付すかどうかは消費者庁が判断し、調査開始等の日から遡って10年以内に法的措置を受けていた場合や、悪質かつ重大な違反被疑行為と考えられる場合には、対象としないとされています(確約手続に関する運用基準)。調査を受けている事業者は、いつでも、確約手続について消費者庁に相談できるとされています(同基準)。計画の認定には、措置が疑いの理由となった行為とその影響を是正するために十分なものであることと、確実に実施されると見込まれることが必要です(27条3項)。措置の典型例として、違反被疑行為の取りやめ、一般消費者への周知、再発防止、履行状況の報告、一般消費者への被害回復などが挙げられています(同基準)。認定をしたときは、事業者名や計画の概要などが公表され、違反を認定したものではない旨が付記されるとされています(同基準)。

当事務所は、計画に盛り込む措置と、その実施を裏付ける資料を整理し、認定の要件との対応を検討します。

課徴金の対象と、額の計算

課徴金は、優良誤認表示・有利誤認表示(5条3号の規定により指定された表示を除きます)をした事業者に対し、課徴金対象期間に取引をした対象商品・役務について、政令で定める方法により算定した売上額に3%を乗じた額とされています(8条1項)。課徴金対象期間は、違反行為をした期間に、やめた後6か月以内の取引の期間(その前に誤認を解消する措置をとった場合はその日まで)を加えた期間で、3年が上限です(8条2項)。課徴金対象行為をした期間を通じて、表示が不当表示に当たることを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められる場合や、額が150万円未満の場合には、納付を命ずることができません(8条1項ただし書)。基準日から遡って10年以内に確定した課徴金納付命令を受けていた事業者が、その命令の日以後にも課徴金対象行為をしていた場合には、率が4.5%となります(8条5項・6項)。課徴金の計算の基礎となる事実について25条1項の報告を求められたのに報告しないときは、合理的な方法で推計して納付を命ずることができるとされています(8条4項)。違反行為をやめた日から5年を経過すると、原則として、課徴金の納付を命ずることはできません(12条7項。確約計画の認定が取り消された場合には特則があります)。

自主報告による減額と、返金措置による減額

課徴金対象行為に該当する事実を報告した場合には、課徴金の額から50%が減額されます。ただし、調査があったことにより課徴金納付命令があるべきことを予知してされた報告は、減額の対象になりません(9条)。消費者庁は、普通自動車の燃費の表示に関する課徴金納付命令の事案で、報告はあったものの、課徴金納付命令があるべきことを予知して行われた報告と評価して、減額を適用しなかったと説明しています(第250回消費者委員会、2017年6月27日。同じ事業者の軽自動車の事案では減額が適用されています)。当局から連絡を受けた場合、会社は、連絡の内容と受領の日時、報告に至る経緯を整理し、9条ただし書に当たらないかを検討します。返金措置については、課徴金納付命令に係る弁明の機会の付与の通知を受けた事業者が、特定された購入者に購入額の3%以上の金銭を交付する計画を作成し、弁明書の提出期限までに認定を申請することができます。申請前に実施した返金を計画に含めることもできます(10条1項・3項)。認定を受けた事業者は、認定された計画に記載した実施期間の経過後1週間以内に結果を報告し、計画に適合して実施されたと認められれば、交付した金銭の額として内閣府令で定めるところにより計算した額が課徴金の額から減額され、減額後の額が1万円未満となったときは納付を命じられません(11条)。この1万円の基準は、150万円未満の場合に納付を命じない基準(8条1項ただし書)とは別の段階のものです。

命令を受けた後の対応と、取消訴訟

措置命令や課徴金納付命令に不服がある場合、審査請求や取消訴訟を検討することになります。取消訴訟は、審査請求をせずに直ちに提起することもできます(行政事件訴訟法8条1項)。取消訴訟は、処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年を経過すると提起できず(行政事件訴訟法14条1項・2項)、審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月、処分があった日の翌日から起算して1年を経過するとすることができません(行政不服審査法18条1項・2項)。いずれも正当な理由がある場合の例外があり、審査請求をした場合の取消訴訟の期間は、裁決を基準に数えます(行政事件訴訟法14条3項)。取消訴訟を提起しても、審査請求をしても、それだけでは処分の効力や執行は止まらず、執行停止を求める場合は別に申立てが必要です(行政事件訴訟法25条、行政不服審査法25条1項)。なお、糖質カット炊飯器の表示についての措置命令が、控訴審判決(2026年6月10日)の確定により取り消された例があり、当局が認定した表示の意味内容そのものが争点となりました。

4 適格消費者団体からの申入れ・開示要請・差止請求

申入れの根拠と、求められている内容を確認する

適格消費者団体からの連絡には、任意の申入れのほか、景品表示法35条に基づく資料開示の要請や、34条に基づく差止めの請求があり、それぞれ根拠と効果が異なります。会社は、団体の名称、問題とされる表示、求められている対応、回答の期限を確認します。

合理的な根拠を示す資料の開示要請

適格消費者団体は、事業者が現にする表示が優良誤認表示に当たると疑うに足りる相当な理由があるときは、理由を示して、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請することができます(35条1項)。事業者は、資料に営業秘密が含まれる場合その他の正当な理由がある場合を除き、要請に応じるよう努めなければならないとされています(35条2項)。この要請は当局の資料提出要求とは別の制度であり、15日の期間や、「みなし」「推定」の効果は定められていません。

開示する資料と、秘密の扱いを検討する

会社は、営業秘密に当たる情報とその範囲を特定したうえで、どの資料をどのように示すかを検討します。説明資料の作成や一部の開示、秘密の保持に関する条件の協議などを検討することも考えられます。

差止請求と、協議・訴訟への対応

適格消費者団体は、事業者が不特定かつ多数の一般消費者に対して優良誤認表示・有利誤認表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、その停止や予防、そうした表示をした旨の周知などを請求することができます(34条1項)。条文上、差止請求の対象として挙げられているのは優良誤認表示と有利誤認表示であり、5条3号の規定により指定された表示(いわゆるステルスマーケティング等)は挙げられていません。差止請求は、表示の停止や予防等を求めるもので、消費者への金銭の支払を求める手続とは異なります。

よくあるご質問

指摘された広告を修正すれば、対応は終わりますか。

修正した後も、過去の表示について行政上の措置が問題になる場合があります。措置命令は、違反行為が既になくなっている場合にもすることができるとされています(7条1項)。既に取引をした顧客への対応も含め、修正の完了と、残る対応とを分けて整理することが考えられます。

根拠資料の提出を求められてから試験を始めれば、間に合いますか。

提出の期間は、正当な事由があると認められる場合を除き、文書の交付から15日を経過する日までとされています(施行規則7条2項)。新たな又は追加的な試験・調査が必要であることは、期限を延長する正当な事由とは認められないとされています。

確約手続を希望すれば、措置命令や課徴金を避けられますか。

確約手続に付すかどうかは消費者庁が判断し、対象としない場合も運用基準で示されています。計画の認定には十分性と確実性の要件があり、認定後に計画に従って措置が実施されないときは、認定が取り消されます(27条3項・29条1項)。

自主的に報告したり、顧客に返金したりすれば、課徴金はかかりませんか。

自主報告による減額は課徴金の額の50%で、調査によって予知してされた報告は対象になりません(9条)。返金措置による減額にも、計画の認定と実施結果の報告などの手続が必要で、顧客への返金を行ったことだけで当然に減額されるわけではありません(10条・11条)。

適格消費者団体からの資料開示の要請には、応じなければなりませんか。

営業秘密が含まれる場合その他の正当な理由がある場合を除き、要請に応じるよう努めなければならないとされています(35条2項)。当局の資料提出要求とは異なり、提出の期間や「みなし」の効果は定められていません。要請の理由と対象となる表示を確認したうえで、回答の方針を検討することが考えられます。

措置命令に不服があります。取消訴訟を起こせば、命令に従わなくてもよいですか。

取消訴訟を提起しても、処分の効力や執行は停止しないとされています(行政事件訴訟法25条1項)。措置命令に違反した場合の罰則もあるため(46条)、命令への対応と、執行停止の申立ての要否とは、別に検討する必要があります。

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受領している文書があればその内容と日付、問題とされている表示、把握している期限を、分かる範囲でお知らせください。

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本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。具体的な対応については、当事務所までご相談ください。記事の内容は、最終更新日の時点で施行されている法令等に基づいています。施行前の改正法を取り上げる場合は、本文にその旨を示しています。