Litigation & Dispute Resolution

医療事故・医療過誤への対応

当事務所は、医療法人等の開設者や医師から、医療事故・医療過誤に関するご相談をお受けしています。正確な事実把握を基礎に、院内調査や患者・遺族への説明、法的責任の検討を支援します。診療経過と医学的知見を踏まえ、初動対応から交渉・訴訟まで、各段階の法的課題に取り組みます。

当事務所には、企業・組織の危機管理や初動対応に精通した弁護士のほか、裁判所の医療集中部(医療訴訟を集中的に取り扱う部)で審理を担当した経験を有する、元裁判官の弁護士が在籍しています。

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まず確認すること

  1. 診療録・画像・検査データ等の保全――診療録、画像・検査データ、看護・手術・麻酔記録、機器の記録等を保全します。必要な訂正・追記は、元の記録と実施者・日時・内容を確認できる形で残します。
  2. 事実経過と説明内容の記録――事故の発生・認識・対応の時刻、関係者、既に行った説明を整理し、確認された事実と推測・評価を区別して記録します。
  3. 院内報告と対応体制の確認――管理者・医療安全担当者等への報告状況を確認し、調査、患者・遺族への説明、対外連絡の担当と役割を整理します。
  4. 患者・家族・遺族への説明状況――説明の相手方と内容、寄せられた疑問や要望を確認し、現時点で説明できる事実、未確認の事項、今後の対応を整理します。
  5. 医療事故調査制度への該当性――制度上の要件に沿って管理者が判断できるよう、診療経過や事前の説明・記録を確認し、判断の根拠と経過を記録します。
  6. その他の報告・届出と手続上の期限――医療事故調査制度とは別に、行政・警察等への報告・届出の要否を確認します。受領した照会や裁判書類については、内容と期限を確認します。
  7. 保険会社・医師会・既存の弁護士等との連絡――加入保険の事故通知や示談に関する手続、費用の取扱いを確認し、既に関与している関係者との役割分担を整理します。

これらは事案に応じて並行して進める事項であり、すべての確認や弁護士への相談が終わるまで、必要な診療・説明・報告等を待つという趣旨ではありません。

ご相談いただけること初動・院内調査/医療事故調査制度への対応/患者・遺族への説明・示談交渉/医療過誤訴訟/行政・刑事対応

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目次
  1. 1 医療事故対応の全体像
  2. 2 初動対応と院内調査――記録・資料の保全と事実の把握
  3. 3 医療事故調査制度への対応――該当性判断・報告・調査
  4. 4 患者・遺族への説明と示談交渉
  5. 5 医療過誤訴訟への対応――過失・因果関係・損害と審理の進め方
  6. 6 行政処分・刑事対応の可能性
  7. 7 再発防止と平時の備え
  8. 8 当事務所の支援内容
  9. よくあるご質問

1 医療事故対応の全体像

医療事故が生じた場合、医療機関には、事実関係の把握、患者・遺族への説明、院内調査と再発防止、そして法的責任の検討という複数の課題が同時に生じます。これらは順番に片付くものではなく、初動の段階から並行して進める必要があります。

本ページでは、医療法人等の開設者や医師の立場から、事故発生後の初動と院内調査、医療事故調査制度への対応、患者・遺族への説明と示談交渉、医療過誤訴訟への対応、行政処分・刑事対応の可能性、再発防止までを整理します。

2 初動対応と院内調査――記録・資料の保全と事実の把握

記録・資料の保全

診療録、看護記録、画像・検査データ、手術・麻酔記録、医療機器のログ等、診療経過を示す資料を保全します。電子カルテの修正履歴や、機器の記録が一定期間で上書きされる場合の保存期限にも注意が必要です。記録の訂正・追記が必要な場合は、元の記載を残したまま、実施者・日時・内容が分かる形で行います。

事実経過の整理と事情聴取

事故の発生から現在までの経過を時系列で整理し、関係した職員から事情を確認します。確認された事実と、推測・評価とを区別して記録することが重要です。事情聴取では、関係者の心身の状況に配慮し、記憶が新しいうちに、誘導せずに事実を確認します。

院内の対応体制

管理者、医療安全担当者、当該診療科の責任者、事務部門の間で、調査、患者・遺族への説明、対外的な連絡の担当と役割を整理します。説明の窓口を明確にし、説明した内容を記録して共有することで、説明の食い違いを防ぎます。

当事務所は、保全すべき資料の範囲、事情聴取の進め方、記録の残し方、院内の対応体制について、初動の段階から助言します。制度上の調査の対象となる事案に限らず、事故後の初動と院内調査をご相談いただけます。

3 医療事故調査制度への対応――該当性判断・報告・調査

該当性の判断と報告

医療事故調査制度の対象となるかは、提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡・死産であるか、管理者が予期しなかったものであるかを、診療経過や事前の説明・記録等を踏まえて管理者が判断します。判断に迷う場合は、医療事故調査等支援団体や医療事故調査・支援センターに相談することができます。対象となる場合には、遺族への説明のうえ、センターへの報告、院内調査、調査結果の遺族への説明とセンターへの報告を行います。

医療事故調査と法的責任の判断

医療事故調査制度は、事故の原因を明らかにし、医療安全の確保と再発防止につなげるための制度です。本制度に基づく院内調査や医療事故調査・支援センターによる調査は、個人や医療機関の法的責任を追及するための手続ではなく、センターの調査結果が、そのまま民事上の過失や賠償責任を確定するものでもありません。

一方、調査報告書が、その後の民事訴訟等で証拠として用いられる可能性はあります。報告書の作成では、訴訟上の有利・不利によって事実を選別するのではなく、確認された事実、医学的な評価、未解明の事項を区別し、それぞれの根拠と検討過程が分かるよう整理することが重要です。個人の行為だけでなく、院内の体制や連携等も検討し、再発防止につなげます。

調査結果の報告書と、事情聴取の記録等の内部資料は、性質と取扱いを区別する必要があります。制度上必要な報告・説明を適切に行うとともに、資料の保存・共有・開示については、関係者のプライバシーや法令上の要請を踏まえて検討します。

当事務所は、該当性の判断に関する要件の整理、判断過程の記録、遺族への説明の進め方、院内調査の体制や報告書の整理について支援します。

4 患者・遺族への説明と示談交渉

事実の説明

患者・遺族への説明は、調査の完了を待つことを一律の前提とせず、現時点で確認された事実、未解明の事項、今後の調査・対応の予定を区別して行います。未確定の評価を断定することも、確認された事実を曖昧にすることも避けます。患者・遺族からの疑問や指摘は記録し、追加で確認すべき事項を整理します。

賠償交渉との区別と保険会社等との調整

事実関係の説明と、法的な賠償責任や金額についての協議は分けて検討します。賠償が問題となる場合には、加入している医師賠償責任保険等の事故通知や示談に関する手続、保険会社との調整が必要になります。医師会や保険会社を通じて既に弁護士が関与している場合には、役割分担を整理したうえで進めます。

示談・裁判外の解決

過失や因果関係についての検討を踏まえ、示談による解決が適切と考えられる場合には、示談の条件や合意書の内容を検討します。裁判所の民事調停や、医療ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する方法もあります。いずれの場合も、確認された事実と医学的な評価を基礎に、解決の内容を検討します。

5 医療過誤訴訟への対応――過失・因果関係・損害と審理の進め方

医療過誤訴訟では、医師や看護師といった医療従事者の過失(過誤)によって患者の生命・身体が侵害されたか否かという、過失と因果関係の有無が争われます。過失では、検査・治療・経過観察・転送等の場面で、診療当時の医療水準に照らして適切な診療が行われたか否かが問題とされ、因果関係では、そのような適切な診療が行われていた場合に、患者の生命・身体が侵害されることがなかったか否かが問題とされます。加えて、医療行為自体には問題がなかった場合でも、医師等が患者に対し、治療に伴うリスク等を事前に説明したか否かという説明義務違反が問題とされます。医療機関側にこれらの民事上の責任が認められる場合、医療機関はそれによって患者側が受けた損害を賠償する責任を負うため、治療費や逸失利益、慰謝料等の損害の額も問題となります。

医療過誤訴訟は専門訴訟であり、医療集中部が設置されている裁判所では、医療集中部で審理が行われます。医療集中部では、診療経過一覧表を用いて、症状・所見、検査、診断、治療の経過を時系列で整理したり、医学的知見を補完するために専門委員の関与やカンファレンス鑑定が実施されています。

医療過誤訴訟は、過失や因果関係といった法律上の概念・解釈や医療集中部での審理運営に精通した上で、診療経過に関わる事実関係の把握と、診療ガイドラインや医学文献(必要に応じて協力医の意見書)等に基づく医学的知見を根拠に、医療行為の適切性に関する主張・立証を組み立てていく必要がある専門性の高い分野です。

当事務所は、医療集中部での審理経験を有する弁護士のもと、診療録等の精査に基づく事実関係の正確な把握、法律と医学的知見を踏まえた争点の的確な分析等を通じて、事案に応じた主張・立証を支援します。

6 行政処分・刑事対応の可能性

医療事故は、民事上の責任とは別に、行政や警察等の手続の対象となる場合があります。保健所等の行政機関からの照会・立入検査、医師個人に対する医師法上の処分、警察による捜査等が、それぞれ独立した手続として進むことがあります。これらは、医療事故調査制度に基づく調査や民事上の責任とは、目的も判断基準も異なります。

当事務所は、それぞれの手続の性質を踏まえ、対応の進め方を助言します。

7 再発防止と平時の備え

院内調査で明らかになった原因を踏まえ、診療の手順、連携、記録の方法、機器の管理等の改善を検討します。個人の行為に原因を求めるだけでなく、体制や運用の問題として捉えることが、再発防止につながります。

平時から、院内報告の基準と経路、患者・家族への説明の担当と記録の方法、診療記録の管理、医療事故調査制度への対応手順を整えておくことで、事故発生時の初動が安定します。規程や研修の見直しについても、必要に応じてご相談いただけます。

8 当事務所の支援内容

医療訴訟の審理経験を踏まえた支援

当事務所には医療集中部で医療訴訟の審理を担当した元裁判官の弁護士が在籍しており、その経験も踏まえ、診療経過と証拠の対応関係、医学的知見の位置づけ、過失・因果関係をめぐる争点を整理し、主張・立証の検討を支援します。

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初動から解決、体制整備まで

  • 初動・院内調査――保全すべき資料の範囲、事情聴取と記録の方法、院内の対応体制、医療事故調査制度の該当性判断と報告について助言します。
  • 説明・交渉・訴訟――患者・遺族への説明の進め方、保険会社等との調整、示談・調停・ADR、医療過誤訴訟における主張・立証に対応します。
  • 行政・刑事対応――行政からの照会・調査、医師個人に対する処分、警察等への対応について、手続の性質に応じて助言します。
  • 体制整備――院内報告・説明・記録管理の体制、規程や研修の見直しを支援します。

よくあるご質問

Q1 医療過誤かどうか分からない段階でも相談できますか。

過失の有無や事故の原因が明らかでない段階でも、ご相談の対象としています。事故後の経過、診療記録、院内の対応状況を確認し、必要な調査・説明・手続を整理します。

Q2 院内調査中の患者・遺族への説明は、どのように進めればよいですか。

調査の完了を待つことを一律の前提とせず、現時点で確認された事実、未解明の事項、今後の調査・対応を区別して説明します。患者・遺族からの疑問や指摘も記録し、追加の確認事項を整理します。事実関係の説明と、法的な賠償責任や金額についての合意は分けて検討し、未確定の評価を断定することも、確認された事実を曖昧にすることも避けます。

Q3 医師会や保険会社を通じて弁護士が関与している場合も相談できますか。

既に弁護士が関与している場合も、ご相談の目的、既存の支援体制、利益相反の有無等を確認したうえで、対応可能な範囲を検討します。加入保険の手続や費用の取扱いを確認し、現在の担当弁護士との役割分担にも配慮して進めます。

Q4 医療機関から依頼した場合、担当医師個人の代理も含まれますか。

医療機関の開設者である法人等からのご依頼が、担当医師個人の代理を当然に含むわけではありません。依頼者と受任範囲を確認し、双方からのご依頼については利益相反の有無等を検討します。利害関係によっては、別の法律事務所の弁護士による個別の助言・代理が必要となる場合があります。

Q5 診療録の開示請求、証拠保全、訴状等を受けた場合は、何を確認すべきですか。

受領日、差出人、請求・申立ての内容、期日や提出期限を確認し、届いた書類と関連する診療記録等を保存してください。任意の開示請求と裁判所の手続を区別し、開示請求者の資格や対象資料の範囲、裁判所から示された手続の内容等を踏まえて対応を検討します。当事務所への最初のご連絡では、事案の概要と進行中の手続・期限をお知らせください。診療情報等の詳細資料は、当事務所からの案内に沿ってお送りください。

Contact

医療機関・医師からのご相談について

事故発生後の初動、院内調査、患者・遺族への説明、交渉・訴訟等、現在の状況とご相談内容をお知らせください。

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本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。具体的な対応については、当事務所までご相談ください。記事の内容は最終更新日時点の法令等に基づいています。