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ファクタリング取引の紛争――回収金の未送金・重複譲渡・貸付該当性への対応(買取企業側)
買い取った売掛債権をめぐる紛争は、いくつかの入口から始まります。利用企業が回収金を送金しない。売掛先が支払を拒む。他の譲受人が同じ債権について権利を主張する。利用企業から、実質は貸付けであるとして返還を求められる。当局から照会を受ける。どの入口から始まっても、確認すべき基礎は同じです――契約に何が書かれているか、実際の取引がどう行われてきたか、そして、売掛先が支払わない場合の負担が現実に誰に帰していたか。
本稿では、買取企業の立場から、未送金、買戻し、重複譲渡、貸付該当性への対応を整理します。契約と取引の実態から請求の根拠・限界を確認し、請求を進める対応と、見直し・返還・業務の是正が必要となる場合の対応を検討します。本稿は、取引を適法とするための条件を示すものではなく、既に行われた取引をどう評価し、どう対応するかを整理するものです。
まず確認すること
- 請求・照会の内容と期限――受け取った連絡を、①利用企業による回収金の未送金、②売掛先の不払・支払拒絶、③利用企業からの返還要求、④当局照会に分け、回答・支払・手続の期限を一覧にします。
- 売掛先の支払と回収金の所在――売掛先がいつ誰に支払ったかを調べ、利用企業の受領額・送金期限と自社の入金記録を照合し、未送金の有無と金額を確認します。
- 買い取った債権と請求の根拠――基本契約・個別契約、請求書、納品・検収等の資料から債権の発生・残高を確認し、利用企業と売掛先への請求根拠を分けて検討します。
- 競合する権利と支払拒絶の理由――譲渡通知・承諾・登記の内容と時期、通知の到達状況、他の譲受人や差押債権者の主張、売掛先の支払拒絶理由と裏付け資料を確認します。
- 契約と実際の負担・回収方法――売掛先が支払わない場合の負担、買戻し・償還義務、手数料、実際の回収方法や支払猶予の運用を確認し、貸付該当性と請求の適切性を検討します。
ご相談いただけること買い取った債権と対抗要件の状況の確認/回収と送金の経過の整理/貸付けとの区別に関する検討/売掛先の抗弁・相殺と重複譲渡への対応/回答書の作成と交渉/裁判手続・倒産手続への対応
お問い合わせフォームへ目次
1 請求・照会の内容と取引状況を確認する
未送金・回収拒絶・違法性の指摘の内容を整理する
受け取った連絡と入金記録を、①利用企業による回収金の未送金、②売掛先の不払・支払拒絶、③利用企業からの返還要求、④当局照会の四つに分け、回答・支払・手続の期限を一覧にします。複数に当たる場合は、同じ取引に関する主張と資料をまとめて確認します。
未送金では入金先と送金義務、不払・支払拒絶では売掛先の主張と弁済の記録、返還要求では対象取引と算定根拠、当局照会では求められた事実と資料を確認します。いずれの入口でも、契約書と請求・支払の履歴を照合し、売掛先が支払わない場合の負担が実際に誰に帰しているかを確認します。
期限の管理は、この段階で行います。訴状が届いていれば答弁書の提出期限があり、当局照会には回答期限があり、返還要求には相手方が示した期限があります。これらは、社内の事実確認が終わるのを待ってくれません。事実確認と並行して、期限ごとに必要な最小限の対応を決めます。
基本契約・個別契約・請求書と実際の取引を照合する
契約書の写しだけでなく、個別の取引ごとの書面、申込みと承諾の記録、審査の資料、送金の記録、請求と入金の履歴を集めます。とくに、契約書の版が複数ある場合、対象となる取引がどの版に基づくものかを特定します。
照合の対象となるのは、次の三つの対応関係です。契約書に書かれた条件と、実際に適用した条件。買い取ったとされる債権と、その債権の発生を裏付ける資料。想定していた回収の方法と、実際に行った回収の方法です。この三つに食い違いがある場合、その食い違い自体が、後の争点になります。
債権の発生・残高・入金先と関係者を確認する
買い取った債権について、その発生の原因となる取引が実在するかを確認します。請求書は存在するが、納品や役務提供の裏付けがない、売掛先が取引の存在を否定している、といった事態があり得ます。この場合、債権の不存在という問題と、利用企業による虚偽の申告という問題が同時に生じます。
残高についても、買取時点の額と現在の額を確認します。一部弁済、値引き、返品、相殺の主張があれば、それぞれの根拠資料を確認します。
記録の保全と利用企業・売掛先への連絡順序を検討する
紛争が生じた時点で、記録の保全に着手します。契約書、審査資料、社内の稟議、担当者と利用企業とのやり取り、電話やメッセージの履歴、入出金の記録。とくに、担当者個人の端末に残っているやり取りは、失われやすい一方で、実際の運用を示す資料として重要です。
連絡の順序も検討します。売掛先への連絡は、債権の帰属や通知の状況を確認してから行います。確認が不十分なまま売掛先に請求すると、売掛先と利用企業の取引関係に影響が及び、回収そのものを難しくすることがあります。
他社にも同じ売掛金が譲渡されているとの指摘があれば、重複譲渡の問題として、既払金と権利関係を確認し、連絡・請求の方針を検討します。
なお、買取企業自身の役職員による不正への関与や回収金の流用が疑われる場合の社内調査は、「社内不正・不祥事対応」で整理しています。
2 債権売買か貸付けかを取引の実態から検討する
この章で扱うのは、どのような契約であれば貸付けに当たらないかではありません。既に行われた取引について、契約と実際の請求・支払を照合し、どのように評価され得るかを確認することです。
回収不能リスクと買戻し・償還義務の内容を確認する
貸金業法は、貸金業について、金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介で業として行うものをいう旨を定めており、そこには、手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付またはその媒介が含まれるものとされています。つまり、契約の名称が売買であることは、それだけで結論を決めるものではありません。
したがって、確認するのは、契約書の文言に加えて、実際の負担の所在です。買戻し条項の名称や文言に加え、売掛先が支払わない場合に誰がどのような負担を負ってきたかを、請求と支払の記録から確認します。
確認の対象となるのは、たとえば次のような点です。売掛先が支払わなかった事案が実際にあったか。あった場合、買取企業はどう対応したか。利用企業に買戻しを求めたか、求めた場合の根拠は何だったか。求めずに損失を負担した事案があるか。買戻しを求めた事案とそうでない事案で、扱いが分かれた理由は何か。
実際の資金交付・回収方法と支払猶予の運用を検証する
資金の交付と回収の実際も確認します。買取代金をいつ、どのように交付したか。留保金や保証金の名目で一部を留保していたか。留保した資金をいつ返したか。回収は、売掛先から直接受け取る方法によったか、利用企業が受け取って送金する方法によったか。
支払猶予の運用も確認します。利用企業が期日に送金できなかった場合に、猶予を与えた事案があるか。猶予の際に追加の金銭を収受したか。その金銭をどのような名目で受け取ったか。再度の買取りという形で処理した事案があるか。
これらは、いずれも、取引の実態を示す事実です。契約書の文言と食い違う運用があった場合、その食い違いを認識したうえで、対応を検討することになります。
貸金業の登録と金利・手数料の規制を検討する
貸付けに当たると評価された場合、いくつかの規制が関係します。
一つは、登録に関するものです。貸金業法は、貸金業を営もうとする者について登録を要するものとしています。登録を受けずに行っていた場合、その点自体が問題となります。
もう一つは、金利に関するものです。利息制限法は、金銭を目的とする消費貸借における利息の契約について、所定の利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分を無効とする旨を定めています。営業的金銭消費貸借については、元本額の計算について別の定めが置かれています。また、出資法は、金銭の貸付けを行う者が一定の割合を超える利息の契約をした場合について、刑事罰を定めています。
ここで検討が必要なのは、手数料として収受した金銭の扱いです。利息制限法は、金銭を目的とする消費貸借に関し、債権者の受ける元本以外の金銭を、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす旨を定めています。営業的金銭消費貸借については、この例外となる費用も限られています。したがって、期間に応じて算定していないことだけを理由に、この扱いから外れるとは言えません。収受した金銭の名目、算定方法、期間との関係に加え、交付した額と返還を受ける額の差が何の対価かを確認します。
民事上の効果は、制限を超える部分の利息が無効となることにとどまらない場合があります。高い金利に関する法定の要件を満たす契約は全体が無効となり、さらに、貸付けが反倫理的なものと評価される場合には、交付した元本の返還の請求が認められないこともあります。返還の要求への対応では、利息の再計算だけでなく、契約全体の効力、元本の返還請求の可否、損害賠償の範囲も確認します。
貸付該当性に疑義がある場合の取引継続・請求方針を検討する
疑義がある場合に検討するのは、次の三つです。これらは別の問題であり、一つの結論で他の二つを決めることはできません。
第一に、過去に行った取引をどう評価するか。第二に、現在行っている請求を続けるか、範囲を見直すか、既に受領した金銭の一部を返還するか。第三に、今後の取引をどうするか――方法を変えるか、対象を限定するか、停止するか。
請求の根拠を検討するとともに、貸付けと評価される場合の登録・金利規制と民事上の効果を確認し、請求の継続、減額・返還、取引の停止・是正の要否を検討します。請求を進める判断と、制限・是正する判断は、同じ重みで検討します。
また、契約や運用を変更する場合も、過去の取引の評価、既存の請求・受領金の精算、変更後の業務の適法性を分けて検討します。現行契約の変更だけで過去の取引の問題が解消するわけではありません。
3 利用企業への請求と買戻しの可否を検討する
回収金の引渡義務と未送金の経過を確認する
利用企業が売掛先から回収した金銭を送金しない場合、まず、引渡しの義務がどの契約条項に基づくものかを確認します。回収の受託に関する定め、送金の期限、分別管理に関する定め、遅延した場合の取扱いを確認します。
次に、未送金の経過を確認します。売掛先がいつ支払ったか、利用企業がいつ受領したか、その資金が現在どこにあるか。単なる送金の遅れなのか、他の用途に費消されているのかによって、対応が異なります。費消が疑われる場合、民事上の請求に加えて、別の対応を検討する場面もありますが、その判断は、事実関係の確認を経てから行います。
利用企業の財務状況も確認します。他の買取企業や金融機関との関係、他の債権者からの請求の有無、事業の継続性。これらは、回収の可能性と、採るべき手段の選択に直結します。
あわせて、未送金が生じた時期と、その前後の取引の状況を確認します。未送金が生じた後も買取りを継続していた場合、その判断の経過を説明できるようにしておきます。利用企業の資力が悪化していることを認識しながら取引を続けていたと評価されると、後の倒産手続における否認の場面や、返還請求の場面で、その事実が主張されることがあります。
債権の不存在・契約違反等を理由とする買戻し条件を確認する
買戻しを求める場合、その根拠となる条項と、発生条件を確認します。買戻しの条項は、一般に、債権が存在しなかった場合、利用企業が表明した事実と異なる場合、利用企業が契約に違反した場合といった事由と結び付けて定められています。
ここで区別が必要なのは、売掛先が支払わないという事実だけを理由とする買戻しと、利用企業側の事情を理由とする買戻しとです。前者は、回収不能のリスクを利用企業に負わせるものとして、取引の性質の評価に影響し得ます。後者は、債権の不存在や表明の誤りに対応するものです。
したがって、買戻しを求める場合には、どの事由に基づくものかを明確にし、その事由を裏付ける資料とともに請求します。事由を特定せずに買戻しを求める運用が続いている場合、その運用自体が、取引の実態を示す事実として扱われ得ます。
売掛先の不払いと利用企業の契約違反を区別する
売掛先が支払わない理由は、複数あり得ます。資力の不足。取引内容についての争い。相殺の主張。譲渡の有効性についての争い。二重に請求されていることによる支払の留保。
このうち、取引内容についての争いや相殺の主張は、債権そのものの内容に関わるものであり、利用企業の表明の正確性の問題につながります。他方、単なる資力の不足は、債権の内容の問題ではありません。どの理由によるものかを確認せずに買戻しを求めると、根拠を欠く請求となる可能性があります。
請求の根拠・金額と相手方からの返還要求を検討する
利用企業から、実質は貸付けであるとして、既に支払った金銭の返還を求められることがあります。この場合、まず、相手方の主張の内容と算定の根拠を確認します。どの取引について、どの金銭の返還を、どのような計算で求めているのか。
そのうえで、自社の請求と相手方の請求について、それぞれの成立の根拠と金額を確認します。貸付けと評価される場合には、売買を前提としていた請求の根拠も見直し、金銭の充当の関係を整理したうえで、相殺の可否、時効、既に成立している合意の効力を検討します。
相手方の主張に理由がある部分と、そうでない部分がある場合、その切り分けを早い段階で行います。全面的に争う方針を先に固定すると、主張を修正し、解決の条件を検討する機会を狭めるおそれがあります。
4 売掛先・競合する権利者との関係を整理する
売掛先の抗弁・相殺・弁済と譲渡制限の影響を確認する
民法は、債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる旨を定めています。また、債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる旨も定められています。これに加えて、対抗要件を備えた後に取得した債権であっても、それより前の原因に基づいて生じた債権や、買い取った債権の発生の原因である契約から生じた債権によって相殺が認められる場合があります。ただし、対抗要件を備えた後に他人の債権を取得した場合は、この扱いから除かれます。ここでの基準となる時は、原則として売掛先に対する通知の到達または承諾の時であり、登記がされた日ではありません。譲渡制限の定めがある場合には、一定の催告や供託の請求によって基準となる時が変わる特則も確認します。したがって、売掛先が主張する抗弁や相殺については、その事由がいつ生じたのか、売掛先に対する対抗要件を備えたのがいつかを確認することになります。
譲渡制限の定めについては、民法は、当事者が債権の譲渡を禁止し、または制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡はその効力を妨げられない旨を定めています。もっとも、これは譲渡制限の定めが何の意味も持たないことを意味するものではなく、債務者の保護に関する別の定めが置かれています。売掛先との基本契約に譲渡制限の定めがある場合は、これらの定めを併せて確認します。
債権譲渡登記と売掛先への対抗要件を区別する
ここは、実務で混同されやすい部分です。
民法は、債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、または債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない旨を定め、この通知または承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない旨を定めています。
これに対し、動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律は、法人が債権を譲渡した場合において、債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該債権の債務者以外の第三者については、民法の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす旨を定めています。そして、登記がされた場合において、譲渡人もしくは譲受人が債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、または債務者が承諾をしたときは、当該債務者についても同様とする旨を定めています。
つまり、登記だけでは、債務者である売掛先に対する対抗要件は備わりません。売掛先に対しては、登記事項証明書を交付した通知か、売掛先の承諾が必要になります。登記があるから売掛先に請求できる、という理解は、この区別を欠いています。
重複譲渡・差押えと権利の優先関係を確認する
同じ債権が複数に譲渡されている場合、または差押えが競合している場合には、原則として、譲渡の第三者に対する対抗要件を備えた時と、差押えの効力が生じた時の先後を確認します。通知が同時に到達した場合や、その先後を確認できない場合には、別途の検討が必要です。確認するのは、各譲受人の通知の到達時期、承諾の時期、登記の時期、売掛先への差押命令等の送達の日時です。確定日付のある証書による通知の場合、その到達の日時が問題となりますので、記録が残っているかを確認します。
差押えが競合している場合、支払の相手方について慎重な判断が必要になります。売掛先が供託する場合もあります。その場合には、供託の原因と種類を確認し、供託金の還付を請求する権利の帰属の確認や、執行裁判所の配当の手続への対応等を検討します。
重複譲渡が判明した場合、利用企業に対する請求も併せて検討します。同一の債権を複数に譲渡したことが、未譲渡等の表明保証や処分を制限する条項に違反するかを確認し、買戻しや損害賠償の根拠となるかを検討します。
譲渡通知・支払請求・連絡方法の適切性を確認する
売掛先への通知や請求の方法についても、確認が必要です。通知の記載内容、送付の方法、送付先。また、売掛先に対する連絡の頻度や内容が、社会通念上相当な範囲にとどまっているかも確認します。
売掛先は、多くの場合、利用企業との取引を継続している事業者です。連絡の方法によっては、利用企業の信用に影響し、結果として債権の回収を難しくすることがあります。また、態様によっては、別の法的な問題を生じる可能性もあります。請求の必要性と方法は、分けて検討します。
5 交渉・法的手続と業務の是正を進める
相手方の資力と保全・訴訟の必要性を検討する
回収の手段を検討する際、相手方の資力の見込みを確認します。利用企業に対する請求か、売掛先に対する請求かによって、必要な準備が異なります。
保全の申立てを検討する場合、被保全権利と保全の必要性の双方を示す必要があり、担保を求められるのが通常です。費用と時間を踏まえて、その必要性を判断します。
買い取った債権の権利関係の検討と併せ、回収に用いる保全・訴訟・執行の一般的な手続は「取引先が支払ってくれないとき(未収金・支払遅延への対応)」で確認します。
利用企業・売掛先の倒産と否認等への対応を検討する
利用企業または売掛先について倒産手続が開始された場合、対応が変わります。まず、どちらについて開始されたのかを分けて検討します。利用企業について開始された場合、有効な売買として必要な対抗要件を備えていれば、買い取った債権が利用企業の倒産手続の対象となる財産から切り離されているかが問題になります。担保としての取引と評価される場合の権利の行使とは区別します。売掛先について開始された場合には、買い取った債権についての債権の届出等が中心になります。いずれの場合も、既に受領した金銭についての否認の主張への対応が問題となることがあります。
とくに、倒産手続の開始前に行われた債権譲渡や弁済の受領について、否認の主張がされることがあります。この場合、譲渡の時期、対価の相当性、当時の相手方の財務状況の認識が争点になります。取引時の審査資料は、この場面で意味を持ちます。
当局への説明と取引・請求方法の是正を検討する
当局から照会を受けた場合、求められた事実と資料を確認し、確認済みの事実、法的な見解、未確認の事項を区別して回答します。確認していないことを確認したかのように述べることは避けます。
是正を行う場合、その内容を具体的に示します。契約書の変更にとどまらず、実際の運用――買戻しを求める場合の事由の特定、支払猶予の取扱い、手数料の算定方法、回収の方法、記録の残し方――をどう変えるかを示します。そして、変更前の取引の評価と、既存案件の精算についても、併せて整理します。
是正の内容を、将来の運用だけに限ると、過去の取引についての説明がないままになります。逆に、過去について一定の評価を示すことが、進行中の民事事件での主張に影響することもあります。何を、どの範囲で述べるかは、民事の紛争の状況も踏まえて判断します。
当局から求められた資料の整理や検査・聴取への準備に共通する手順は、「規制当局対応」で確認します。
合意内容・回収状況と未処理案件を管理する
和解や分割弁済の合意をした場合、その内容を管理します。履行の状況、遅滞した場合の取扱い、担保や保証の有無。合意書には、対象となる債権の範囲と、清算条項の範囲を明示します。
未処理の案件についても、一覧で管理します。同じ利用企業について複数の取引がある場合、一部だけを解決すると、残りの取扱いが不明確になります。とくに、貸付該当性が問題となっている場合、一つの案件についての和解の内容が、他の案件についての先例として主張されることがあります。清算条項の範囲と、他の案件への影響を確認したうえで合意します。
また、同種の取引が他にも存在する場合、今回の紛争で問題とされた点が他の案件にも当てはまるかを確認します。一件ごとに対応していると、同じ指摘が繰り返され、そのたびに対応が場当たり的になります。
継続的な買取取引を終了させる場合の通知や精算の一般論は、「取引打切り・契約更新拒絶への対応」で整理しています。もっとも、違法性の疑いを理由として取引を停止する場合の判断は、通常の解約の手続とは別に検討する必要があります。
当事務所の支援内容
債権・回収状況と取引の実態を整理する
基本契約・個別契約と実際の運用を照合し、債権の発生・残高・帰属、対抗要件の状況、競合する権利者の主張を整理します。売掛先が支払わない場合の負担の所在についても、請求と支払の記録から確認します。
請求・返還要求への対応と紛争手続を支援する
利用企業・売掛先に対する請求の根拠と範囲、返還要求への対応、保全・訴訟・倒産手続への対応を支援します。連絡の順序と方法についても、回収への影響を踏まえて検討します。
貸付該当性の検討と当局対応・業務の是正を支援する
取引の実態に即した検討、当局への回答、契約と運用の見直しを支援します。過去の取引の評価、既存案件の精算、今後の業務の在り方は、それぞれ分けて検討します。
よくあるご質問
利用企業が回収金を送金しないときは、売掛先にも支払を求められますか。
売掛先に請求できるかは、債権の帰属、対抗要件の状況、利用企業の回収・受領の権限、既にされた支払の効力によります。利用企業に受領の権限があった場合には、対抗要件が備わった後でも、その権限に基づく支払は有効な弁済となります。有効な弁済によって消滅した債権について、利用企業が回収金を送金していないことを理由に、売掛先へ重ねて支払を求めることはできません。通知・承諾と回収の委託の内容、権限の変更の経過、支払時の事情を確認したうえで、売掛先への連絡の要否と方法を検討します。確認を経ずに請求すると、売掛先と利用企業の取引関係に影響し、かえって回収を難しくすることがあります。
売掛先が支払わないときは、利用企業に買戻しを求められますか。
契約に定められた買戻しの事由によります。債権が存在しなかった場合や、利用企業が表明した事実と異なる場合を事由とする買戻しと、売掛先が支払わないという事実だけを理由とする買戻しとは、区別して検討する必要があります。後者は、回収不能のリスクを利用企業に負わせるものとして、取引の性質の評価に影響し得ます。買戻しを求める際は、どの事由に基づくものかを明確にし、裏付け資料とともに請求します。
債権譲渡登記があれば、他の買取企業より優先して回収できますか。
登記は、債務者以外の第三者に対する関係で意味を持つものとされており、他の譲受人との優先関係では、対抗要件の具備の先後が問題になります。他方、債務者である売掛先に対しては、登記だけでは対抗要件が備わりません。売掛先に対しては、登記事項証明書を交付した通知か、売掛先の承諾が必要とされています。登記の有無と、売掛先への請求の可否は、分けて確認します。
債権売買の契約書があれば、貸付けには当たりませんか。
契約書の名称や文言だけで決まるものではありません。貸金業法は、貸金業について、金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介で業として行うものとし、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付を含むものとしています。したがって、確認されるのは、売掛先が支払わない場合の負担が実際に誰に帰していたか、資金の交付と回収がどのように行われていたか、収受した金銭がどのような性質を持つかといった点です。契約書と実際の運用に食い違いがある場合は、その点を踏まえた検討が必要になります。
違法な貸付けだとして利用企業から返還を求められたら、どう対応しますか。
まず、相手方の主張の内容と算定の根拠を確認します。どの取引について、どの金銭の返還を、どのような計算で求めているのか。そのうえで、自社の記録と照合し、理由がある部分とそうでない部分を切り分けます。同時に、過去の取引の評価、現在の請求の取扱い、今後の業務の在り方は、別の問題として検討します。全面的に争う方針を先に決めると、後に方針を変える際の材料を失うことがあります。
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まずはご相談ください
早期のご相談が、対応の選択肢を確保するために重要です。
お問い合わせフォームへ本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。具体的な対応については、当事務所までご相談ください。記事の内容は、最終更新日の時点で施行されている法令等に基づいています。施行前の改正法を取り上げる場合は、本文にその旨を示しています。
