Regulatory Compliance

価格・割引・無料・期間限定表示の審査

「通常価格から半額」「初回無料」「今月限定」といった訴求では、表示した金額だけでなく、比較の基準となる価格、適用される条件、実施の期間が、実際の取引と対応しているかが問題になります。価格その他の取引条件について、実際のもの等よりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示は、有利誤認表示として禁止されています(5条2号)。

会社は、広告案とともに、価格の設定と販売の履歴、割引の条件、別途必要となる費用、終了後の取扱いを整理しておくことが考えられます。買取価格の表示や、定期購入・サブスクリプションの価格の伝え方も、それぞれの取引の仕組みに即して確認します。

当事務所は、価格の訴求と資料・取引条件とを照合し、比較価格の選び方や表示案の修正を検討する支援を行います。掲載後に実際との食い違いが見つかった場合には、是正と行政対応の検討につなげます。

監修:吉川 景司(弁護士・弁理士/第一東京弁護士会)

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まず確認すること

以下は、価格・割引の表示を審査する前に、会社が確認しておきたい事項の例です。

  1. 対象の商品と、販売の場所――対象となる商品・サービス、仕様、数量、店舗や販売サイトを特定します。
  2. 比較価格の種類――比較の基準とする価格が、自店の過去の価格、メーカー希望小売価格、他店の価格、将来の価格のどれかを確認します。
  3. 販売の記録――その価格で販売していた期間と販売の方法を示す記録があるかを確認します。
  4. 通常の取引条件――クーポン、会員割引、ポイント等を含めると、通常の取引条件がどうなっているかを確認します。
  5. 別途必要となる負担――送料・手数料・継続購入など、訴求した価格のほかに必要となる負担や条件を確認します。
  6. 期間と数量――開始日・終了日、数量、終了後の価格・条件、延長の予定の有無を確認します。
  7. 買取価格の性質――買取価格を表示する場合は、参考価格・実績価格・通常の査定額・保証額のどれを示しているか、どの条件を前提にしているかを確認します。
  8. 媒体ごとの食い違い――広告、商品ページ、申込みの画面、店頭の案内などで、価格・条件・期間が食い違っていないかを確認します。

比較価格や条件の表示は、企画の段階で確認しておくと、公開後の修正を避けやすくなります。

ご相談いただけること比較価格と販売履歴の確認/割引・無料・ポイントの表示の検討/定期購入・サブスクの価格の伝え方/買取価格の表示/期間・数量限定の表示/掲載後の是正

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目次
  1. 1 比較価格と、販売の履歴を確認する
  2. 2 割引・無料・実質価格と、継続する契約の条件
  3. 3 買取価格の表示を審査する
  4. 4 期間・数量の限定と、公開後の変更
  5. よくあるご質問

1 比較価格と、販売の履歴を確認する

比較価格が何を示す価格かを明らかにする

販売価格に、自店の過去の価格、メーカー希望小売価格、他店の価格などを併記する表示(二重価格表示)では、比較の基準となる価格(比較対照価格)が何の価格かによって、確認すべき事項が変わります。価格表示ガイドラインは、同一ではない商品の価格との二重価格表示について、価格差に品質等の違いも反映されているため、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあるとしています。

自店の過去の価格と、販売の期間

過去の販売価格を比較対照価格とする場合、ガイドラインは、それが「最近相当期間にわたって販売されていた価格」であるかを問題とし、そういえない価格を用いるときは、いつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるか等を正確に表示しない限り、不当表示に該当するおそれがあるとしています。一般的には、セール開始時点から遡る8週間(販売期間が8週間未満の場合はその期間)において、その価格で販売されていた期間が過半を占めているときは、最近相当期間にわたって販売されていた価格とみてよいとされています。ただし、その価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合や、その価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合は、これに当たらないとされています。

ここでいう「販売されていた」とは、通常の販売活動においてその価格で販売していたことをいい、実際に購入された実績までは必要ないとされています。一方、通常とは異なる場所に陳列していた場合や、比較対照価格とするための実績作りとして一時的にその価格で販売していたとみられる場合は、「販売されていた」とはみられないとされています。

会社は、広告の対象となる店舗・販売経路・期間と、根拠とする価格の履歴の範囲とを照合します。

希望小売価格・他店の価格を用いる場合

メーカー等によりあらかじめ公表されているとはいえない価格を「希望小売価格」と称して比較に用いる表示は、不当表示に該当するおそれがあるとされています。競争事業者の販売価格を比較対照価格とする場合は、同一の商品について代替的に購入し得る事業者の最近時の販売価格といえるかが問題とされています。

将来の販売価格や、条件の異なる価格と比較する場合

「セール終了後は〇〇円」のように将来の販売価格を比較対照価格とする表示について、消費者庁は、その価格で販売することが確かな場合以外は、基本的に行うべきではないとしています。同方針は、セール期間を通じて、将来の価格で販売するための合理的かつ確実に実施される販売計画を有している必要があるとし、セール終了後直ちにその価格で販売を開始して2週間以上継続した場合には、ごく短期間であったとは考えないとしています。

会員価格と一般価格の併記など、条件の異なる価格を比べる場合も、比較の基準となる価格が実際に適用されている取引の実態を確認します。クーポンや会員割引の適用が常態化している場合に、割引前の価格を比較の基準としてよいかは、割引の対象者・条件と、割引前の価格で行われている通常の販売活動の実態を踏まえて検討する必要があると考えられます。会社は、表示した価格、割引の適用条件、クーポンの配布の状況、価格の履歴を照合します。

2 割引・無料・実質価格と、継続する契約の条件

割引率・割引額と、対象の範囲

「最大〇%オフ」「全品〇割引」などの表示では、割引の基準となる価格、対象となる商品と対象者、併用の条件を、実際の条件と照合します。ガイドラインは、最大の割引率が適用されるのが一部の商品に限られるにもかかわらず、個々の商品ごとに割引率を表示せずに、最大の割引率を強調して、あたかも多くの商品に適用されるかのように示す表示を、不当表示に該当するおそれがあるものとして挙げています。

無料になる範囲と、別途必要な負担

「無料」「0円」と表示する場合、商品の代金、入会金、送料、手数料などのうち何が無料になるのか、無料となるための条件は何かを整理します。なお、通信販売の広告では、販売価格に送料が含まれない場合には、販売価格とあわせて送料を表示することが特定商取引法で定められています(同法11条1号)。条件や例外を注記で示す場合の表示の方法は、「広告の表示内容の判断と強調表示・打消し表示」で解説しています。

ポイント・還元を含む価格の表示

ポイントやキャッシュバックを含めた「実質〇円」のような表示では、支払う金額、還元される金額、還元を受けるための条件と時期、還元されたポイントの利用の制限を分けて整理し、支払額との違いが伝わるかを確認します。ポイントの提供が景品類に当たるかどうかは、景品・懸賞・キャンペーンのページで扱っています。

定期購入・サブスクリプションの価格

初回の価格の安さを強調しつつ、継続して購入することが条件であることや解約の条件を注記で示す表示について、消費者庁は、注記を読んでもその内容を理解できない場合を問題として取り上げています。会社は、初回と2回目以降の価格、継続の条件、支払の総額(期間の定めがない場合は一定期間の負担の目安)、解約の条件を整理します。

また、通信販売の申込みの最終確認画面では、分量のほか、販売価格、支払の時期と方法、申込みの期間に関する定め、申込みの撤回・解除に関する事項などを表示しなければならず、これらについて人を誤認させるような表示は禁止されています(特定商取引法12条の6)。最終確認画面の表示と、それより前の広告における価格の訴求とは、それぞれ別の規定の対象となるため、両方を確認します。

3 買取価格の表示を審査する

買取参考価格と、買取実績価格

事業者が一般消費者から商品を買い取る取引でも、買取価格などの取引条件の表示は景品表示法の対象となり、消費者庁は買取サービスに関するQ&Aを公表しています。同Q&Aは、「買取参考価格」との表示から、一般消費者は、その商材が当該価格又はそれに近い金額で買い取られると認識するものと考えられるとしています。「買取実績価格」との表示についても、その価格で実際に買い取られたことがあり、当該価格又はそれに近い金額で買い取られると認識するものと考えられるとしています。会社は、表示する価格がどの時点の、どのような状態の商品についてのものかを、査定の記録と照合します。

「買取価格アップ」の基準

同Q&Aは、「買取価格アップ」との表示から、一般消費者は通常の買取価格からアップされた価格で買い取ってもらえると認識するものと考えられるとしています。会社は、増額の前提となる通常の査定額、査定の条件、対象となる商品と除外される条件を整理します。同Q&Aは、実際には通常の買取価格からアップしない場合には有利誤認表示として問題となるとし、買取価格の根拠を問われた場合には、どのような基準で算出した額かを説明するなど、一般消費者に分かるように示すことが望ましいとしています(Q3)。会社は、対象品の状態、査定の時点、適用した査定の基準、増額の前後の計算を記録しておきます。

期間を限った買取価格の増額を表示しながら、期限を過ぎても同じ又はより有利な割増率で買取りを続けていたことについて、有利誤認表示として措置命令がされた例もあります(2026年6月11日)。

買取価格の保証と、「何でも買取り」の表示

同Q&Aは、「買取価格保証」との表示からは、対象となる商材を持ち込めば必ず保証価格以上で買い取られると認識し、「何でも買取り」との表示からは、特段の条件なく、どのような状態でも買い取られると認識するものと考えられるとしています。保証や買取りの対象に条件や除外がある場合には、その内容と、実際の査定の方法とが対応しているかを確認します。

4 期間・数量の限定と、公開後の変更

実施の期間と、終了後の条件

「期間限定」「今だけ」などの表示は、その期間内に限って有利な条件で取引できることを示すものとして問題とされることがあります。会社は、終了後の価格や特典をどうするかを、企画の段階で決めておくことが考えられます。

延長・再実施・カウントダウン

将来の販売価格と比較する表示について、執行方針は、天変地異等の不可抗力による特段の事情がある場合と異なり、一部の顧客からセールの継続を求められた、売上目標に達していない、他社が値下げしてきたといった理由でセールを延長・継続した場合を、将来の価格で販売することが不可能であったとはいえない例として挙げています。将来の価格との二重価格表示に当たらない期間限定の表示では、延長や再実施が問題にならないかは、当初の表示が伝えた条件と、その後に実施した内容との関係から個別に検討する必要があると考えられます。残り時間を示すカウントダウンの表示についても、期限が来た後の条件と実態とが対応しているかを確認します。

数量の限定と、実際に用意する数量

数量を限定した表示では、用意する数量、対象となる店舗、申込みの条件、在庫がなくなった後の表示を整理します。実際には取引に応じることができない商品や、供給量が著しく限定されているのにその限定の内容が明瞭に記載されていない商品についての表示は、おとり広告に関する告示の対象となります(同告示1号・2号)。

掲載した後に、価格や条件の食い違いが分かった場合

掲載した後に表示と実際の価格・条件とが食い違っていることが分かった場合、会社は、食い違いの内容と掲載の範囲を把握し、表示の停止・修正を検討します。是正や顧客への対応、当局への対応は、「景品表示法の違反指摘・自主是正・行政対応」で解説しています。

よくあるご質問

通常価格で2週間販売すれば、その後は比較価格として使えますか。

2週間という期間だけで判断できるものとはされていません。ガイドラインは、セール開始時点から遡る8週間のうち、その価格で販売されていた期間が過半を占めていること、通算して2週間以上であること、最後に販売された日から2週間以上経過していないことを、一般的な目安として示しています。

一度も購入されていない価格は、比較価格にできませんか。

ガイドラインは、通常の販売活動においてその価格で販売していれば、実際に購入された実績までは必要ないとしています。ただし、比較対照価格とするための実績作りとして一時的に販売していたとみられる場合などは、「販売されていた」とはみられないとされています。

送料や手数料がかかる場合でも、「無料」と表示できますか。

何が無料で、何に費用がかかるのかを、実際の負担と照合して検討します。別途の負担を注記しているというだけで、注記が認識されない配置であったり、内容が理解できなかったりする場合には、問題が解消されるとは限りません。

期間限定のキャンペーンを、好評のため延長してもよいでしょうか。

将来の販売価格と比較する表示については、消費者庁の執行方針が、一部の顧客からセールの継続を求められて期間を延長した場合を、将来の価格で販売することが不可能であったとはいえない例として挙げています。「好評につき延長」と書くだけで済ませず、会社は、当初の表示と延長後の条件とを照合します。期限を過ぎても同じ又はより有利な条件で提供を続けていた事案で、措置命令がされた例もあります。

初回価格を大きく表示し、2回目以降の価格は最終確認画面に書けば足りますか。

最終確認画面の表示は特定商取引法が定めるものであり、それより前の広告における価格の訴求は、景品表示法の観点からも別に確認する必要があります。初回価格を強調し、継続の条件を注記で示す表示については、注記を読んでも内容を理解できない場合が問題として指摘されています。

「買取価格30%アップ」の基準となる価格は、会社が自由に決めてよいですか。

消費者庁のQ&Aは、「買取価格アップ」の表示から、一般消費者は通常の買取価格からアップされた価格で買い取ってもらえると認識するものと考えられるとしています。会社は、通常の査定の基準・条件と、増額後の価格との対応を説明できるようにしておくことが考えられます。

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ご相談にあたって

広告案、比較価格の根拠となる販売記録、適用条件、実施の予定を、分かる範囲でお知らせください。

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本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。具体的な対応については、当事務所までご相談ください。記事の内容は、最終更新日の時点で施行されている法令等に基づいています。施行前の改正法を取り上げる場合は、本文にその旨を示しています。